「株価は大きく下落する」と読むこれだけの理由

実態は悪化しているのに市場は見て見ぬふり

とは言っても、日本の株価は、こうした経済情勢の陰りを、無視しすぎているように感じられる。2月の輸出額が増加するとの期待が強いのであれば、かえってそれが裏切られた場合の失望に警戒する必要があるだろう。また、世界的な景気悪化の流れは変わらないと見込むので、2月の輸出額がいったん強くても、輸出の状況が先行き悪くなっていくとの動きは、傾向的に続くと考える。

一方、目を日本の個人消費に転じれば、消費者心理を示す消費者態度指数は、2017年11月、12月、2018年1月のタイ記録のピークである44.6からの悪化傾向が止まらず、直近のデータである今年2月の41.5まで低下を見せている。こうした心理悪化により、企業が値上げをすると売れ行きが落ちる、という現象が、小売でも外食でも頻繁に見受けられる。あたかも「デフレ心理」がまた広がっているようだ。

ではそうした景気の陰りに対して、政策面で有効な手が打たれるかと言えば、極めて悲観的にならざるを得ない。

前述のように、日銀は輸出と生産の見通しを下方修正したが、景気全般については「所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している」という、いわゆるトリクルダウン(企業収益が改善すると賃金が伸び、個人所得が増えるので消費も増加して、経済全般が拡大するといった、上から下へ滴り落ちるように好調さが伝播していくこと)の「呪文」を唱え、見通しを下方修正していない。輸出と生産を修正しながら経済全般の見解を変えない、というのは、整合性がとれていないように思われる。

なぜ全体の見通しを下方修正しなかったのか。日銀として経済全般に対する見解を悲観方向に動かせば、当然追加緩和しなければおかしいことになる。しかし日銀は、すでに緩和の方策を全弾撃ち尽くして、有効な追加緩和の方策がないため、見通しを直さなかった、と邪推されても仕方がないだろう。

これに対して、「景気が悪くなっているのだから、当然追加緩和がいずれ行なわれるだろう」という説が市場にはびこり、株価を支え、為替相場も円安方向にしているように思われる。そうした説の支えとなっているのは、黒田東彦総裁が国会などでたびたび、追加緩和の可能性について言及していることだろう。確かに追加緩和が全くできないわけではないだろうが、これまでの緩和策がさまざまな限界(国債の買い入れ額がすでに大きいことや、金融機関の収益を圧迫していることなど)に達していることを踏まえれば、「効果的な追加緩和策」はもうない、と考えられる。

また、黒田総裁の発言も、仮に総裁が「景気が悪くなったとしても、実はもう効果的な追加緩和策はない」と語れば、どれほどの騒ぎになるかを想像してみれば、「景気が悪くなれば日銀は追加緩和で景気を支えられる」と述べる以外の選択肢がないことがわかるだろう。とすれば、市場の日銀に対する期待が過度な分、将来の失望が懸念される。

消費増税をすれば個人消費がどうなるかは明らか

しかも財政面では、景気を支えるどころか、逆風だ。消費者態度指数の悪化と、値上げによる買い控えを述べたが、こうした状況で消費税率を引き上げれば、個人消費がどうなるかは明らかだ。だが消費増税を前提とした2019年度予算案は、3月2日にすでに衆議院を通過しており、消費増税は既定路線だ。もちろん、それでも増税撤回は不可能ではなかろうが、今後日本経済が悪化し、気が付けば消費増税も撤回不可能なタイミングになっている、という展開は十分ありうるだろう。

こうした諸状況を踏まえ、日経平均株価が年央1万6000円程度に達する、との見通しは変わらない。ただし、短期的には、内外株式市況が根拠の薄い楽観のまま、上に走ってしまう展開も否定はできない。大きな株価下落の流れの中で、目先は上下どちらにも株価が走りうる、という想定のもと、今週の日経平均株価のレンジを2万1000~2万1700円で予想する。

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