不動産動き出す! アベノミクス効果から不動産市場の回復が鮮明に

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今後のリスク要因は 実体経済と金利動向

ただ、先行きには懸念材料もある。一つは「センチメントは改善しているが、賃料など実体経済が本当に改善するかどうか。腰折れした場合、その反動は大きい」(大手外資系物流施設幹部)。もう一つは金利動向。低金利下の日本では資金調達コストを抑えられ、投資利回りが多少低くても安定的に収益を稼げるとの見方から投資マネーが集まっている。今後、金利が上昇する一方、賃料が上がらない場合、海外勢が一斉に引き揚げるおそれがある。

こうした急落リスクの防波堤となるのが、目下政府が取り組んでいる外国人観光客や企業の誘致などを含む一連の成長戦略だ。

世界に目を転じれば、ロンドンやニューヨークなどは大幅な供給増がなくても、都市の魅力を底上げすることで世界中から投資マネーを呼び込んでいる。成長戦略などで日本の魅力が向上すれば、不動産市場にも長期的な展望が開けてくる。日本の不動産市場は今まさにその岐路にある。

トーキョーを買え!

インフレ期待や円安を背景に海外ファンド勢が日本に回帰。が、不動産ミニバブル時とは様相が違う。

「東京は超お買い得」 戻ってきた海外マネー

「いったい全体あんな高値で競り落としてどうするつもりなんだ」。2013年11月、ある取引に不動産関係者らは驚嘆した。

泉北高速鉄道などを運営する大阪府の「大阪府都市開発」(OTK)。その売却先の最有力候補となったのが米投資ファンドのローンスターだったのである。買収提案額は781億円と、府が提示した参考価格670億円を大幅に上回った。

かつて日本の企業や不動産に積極的に投資していたローンスターは、リーマンショック以降鳴りを潜めていたが、ここへきて「再投資意欲を強めているようだ」と、ある不動産関係者は話す。

買収は府議会で否決され白紙となったが、ローンスターの狙いはOTKが持つ二つのトラックターミナルだったとみられる。「関西最高の立地で、大阪の中心地、南部、神戸方面にも荷物を運びやすい。ローンスターはおそらく、現在利用度の低いターミナルを再開発し、売却しようと考えていたのでは」(物流関係者)。実際、関西では目下、物流倉庫需要が急拡大しており、国内外の事業者が施設開発に乗り出している。

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