不動産動き出す! アベノミクス効果から不動産市場の回復が鮮明に
活況が続くマンション オフィスは反転の兆し
折しも日本では、アベノミクスへの期待に伴い景気先行きに対するセンチメントが改善。低金利や不動産の割安感もあって、投資マネーが流入しやすい状態になっていた。さらに、20年の東京オリンピック開催決定や円安という追い風も吹いた。
すでに国内での不動産取引は活発化している。総合不動産サービス大手のジョーンズ ラング ラサールによると、13年の日本の不動産取引額は、08年以来5年ぶりに4兆円を超える水準になるとみられる。一方、海外からの投資額に目を向けると、13年は過去2年の無風状態からようやく脱却。不動産の先高感を背景に「安定的なキャッシュフローが見込める投資先としてニーズが拡大している」と、三井住友トラスト基礎研究所・副主任研究員の菅田修氏は話す。
期待感が先走る一方で、実物不動産市場にも変化が起きている。
まず、オフィス市場では賃料上昇の兆しが見えてきた。オフィス仲介の三鬼商事がまとめた13年11月末時点の東京主要オフィス5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の平均空室率は7.5%と、09年6月以来4年5カ月ぶりの低水準となった。「企業の業容拡大に伴う増床に加えて、BCP(事業継続計画)対応のビルに移動する動きも続いている」(不動産サービス大手シービーアールイー=CBREシニアディレクター、前澤威夫氏)。
今後満室の目安とされる空室率5%が近づけば賃料も反転する可能性もある。渋谷区の空室率は5.4%まで回復しており、同区内にある渋谷クロスタワーは「過去1年半、賃料水準が上昇し続けている」(同ビルを保有するジャパン リアルエステイト アセット マネジメントの吉田竜太企画部長)。
一方、マンション市場も活況だ。13年は首都圏の供給(発売)戸数が5万6000戸と6年ぶりの水準に達した。不動産価格の先高感に加え、低金利や消費税増税が購入者の背中を押した。相続対策に伴う富裕層の動きも目立ち、「億ション」も好調。海外からの引き合いも強まっている。建築コストの高騰で販売価格への上昇圧力が高まっており、今後も値上がり前の「駆け込み需要」がマンション市場を下支えしそうだ。
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