不動産動き出す! アベノミクス効果から不動産市場の回復が鮮明に

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ティファニービル狙った 中東オイルマネー

日本の不動産に興味を示す海外勢はローンスターだけではない。

06~07年の不動産ミニバブル時には海外ファンドが大挙して訪れ、日本の不動産を高値で買収するケースが数多く見られた。が、リーマンショックでこうした物件価格は急落。多くは「塩漬け」状態にあった。

そんな遺産の一つ、千葉県浦安市の「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル」が13年8月、約500億円で売却された。同物件は07年に米モルガン・スタンレーの不動産ファンドなどに共同で買収されたが、リーマンショック後は同物件にかかわる商業用不動産ローン担保証券(CMBS)を保有する債権者の手に渡っていた。

買収したのは米投資ファンド大手フォートレス・インベストメント・グループ。日本では09年以降、2度、総額2000億円に上るファンドを組成。約1500物件に投資している。日本事業を統括するマネージングディレクターのトーマス・プリー氏は「ホテルに限れば55件に投資している。オリンピックやカジノ実現で観光客が増えるだけでなく、国内のレジャー需要も高まっており、今後も安定的なキャッシュフローが見込める」と話す。

6月に売りに出されたティファニー銀座本店ビルも、07年にゴールドマン・サックスの不動産ファンドが巨額で買収していた物件だ。今回320億円で競り落としたのはソフトバンクの孫正義社長とされるが、「二番札を上げたのは、アゼルバイジャンのオイルマネーといわれている」(不動産関係者)。

アベノミクスによる景気好転やインフレ期待などから、日本、とりわけ首都である東京の不動産に対する国内外ファンドの関心は急速に高まっている。オリンピック開催決定や円安などもあってこの傾向は加速しており、「不動産市場はこの2~3カ月で急激にヒートアップしている。夏以降は6~7月の価格で買おうとしても買えない」(ケネディクスの田島正彦執行役員)状態だ。

特に景気変動に敏感なホテル市場は、外国人観光客の増加期待もあり投資家からの注目度も高い。「売り案件があった場合、12年までは手を挙げるのは数社だったが、13年は倍増している。外資系ファンドなどと入札で競合することも多い」と、ジャパン・ホテル・リートを運用するジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズの鈴井博之社長は話す。

海外勢による日本不動産特化型のファンド組成も相次いでいる。香港大手投資会社傘下のセキュアード・キャピタル・インベストメント・マネジメントでは、13年に日本特化型としては過去最大となる1500億円規模(投資家出資ベース)のファンドを組成。最高投資責任者、ジェイ・ピィ・トッピーノ氏は、「ドイツ勢も投資を再開したし、東南アジア勢も来ている。今後少なくとも2~3年間は、投資するのにグッドタイミングではないか」とみる。

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