建売購入で「階段とトイレ」を確認すべき理由 玉石混交の物件の中で後悔をしないために

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長く大型団地供給(ニュータウンなどの大型戸建て分譲団地)をしていた大手ハウスメーカーが高付加価値を軸に一戸建て住宅市場を牽引してきたが、飯田ホールディングスなどのいわゆる「パワービルダー」が土地の仕入れの強化と低価格帯に特化し量を売りはじめたことで競争が激化。大手ハウスメーカーや地域ビルダーを含む多様なプレーヤーが存在し、競い合っているのだ。

2019年10月に消費増税が予定されているが、現行の8%で購入したい場合、注文住宅は「2019年3月末までの契約」、分譲住宅(建売住宅)は、「2019年9月末までの引き渡し」であれば8%に据え置かれることになる。

注文住宅の現行消費税率維持のタイムリミットが切れた4月以降は、特に建売住宅ブームがより強まるものと見られる。

これが、冒頭の「建売住宅の存在感が増す」という理由だ。とはいえ、そもそも建売住宅市場は玉石混交が激しい分野である。そこで、以下でチェックポイントを紹介したい。

チェックポイントは大きく2つ

2階建ての建売住宅をイメージしていただきたい。1階にLDKとバス・トイレなどの水回りがあり、2階には各個室がある、一般的な間取りの建物だ。「階段」と「2階トイレ」をいちばんに見に行くことをおすすめしたい。

というのも、階段やトイレはその建物を販売する事業者の質、住まいづくりに対する考え方がよく表れるからだ。階段については傾斜が急すぎないか、踏み板の大きさや滑り止めの配慮が施されているか、持ちやすい手すりがあるか、をチェックしてみよう。

安全性に配慮された階段の事例(筆者撮影)

傾斜は緩やかでさらに踊り場がある、手すりはユニバーサルデザイン(この場合、誰にでも握りやすく配慮されたデザイン)なら、なおさらいいと考える。階段は家族がほぼ毎日通る動線であり、安全上の配慮は最大限されているべきだ。

踊り場があれば、仮に足を滑らせて転倒しても、そこで止まる可能性が高まるから、骨折などの大事になりにくい。都市部で散見される2階にLDKを設けたプランの建物なら、なおのことこのような安全配慮は必要だ。

2階トイレはあくまで1階トイレのサブ的位置付けで、あまり注目されないポイントである。そのせいもあり、収納がないケースがよく見られる。この収納もあったほうがベター。ない場合はトイレットペーパー切れや掃除道具の収納などに困るからだ。

共働き世帯が一般化した今、補給のために階段の上り下りをする手間や時間は減らしたいものである。ここでわかるのは、ユーザーの暮らしをよりよくするための配慮をしている事業者なのか、ということだ。

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