リクシル、渦中の瀬戸氏が明かす対立の真因 「話せば潮田氏にわかってもらえる気がした」
――こうしたケースでは社外取締役の牽制機能が期待されている。
従来の監査役等設置会社では、ボスと部下の関係で議論もなく密室で人事が決まった。そういう「村の論理」ではなく、株主の論理で決められるように監督と執行を分けましょう、ということで指名委員会等設置会社ができた。
今回、社外取締役が理想どおりには機能しなかった。だけど、まったく機能しなかったわけではない。言いすぎかもしれないが、もし潮田氏が100%の影響力を持っていれば、最初から口裏を合わせて「瀬戸はダメだから辞めてもらった」とすれば、このようなことをする必要はなかった。
全員ではないが、それぞれの立場の中で良心に従ってやろうとした人もいる。社外取締役の中にも後から「やっぱりおかしいのではないか」と言う人がいたから、今回の問題が表に出た。ある程度良心はあった。
「1週間後に話し合いましょう」と約束した
――調査報告書では昨年10月19日、潮田氏との会食が取り上げられている。ここが転換点になった印象を受ける。
その内容こそ恣意的だと感じる。僕の理解では10月19日の会食は和やかな会談だった。少なくとも自分がクビになるような対立になったとは思っていない。
具体的なことは言えないが、持ち株会社のあり方や(売却を1度決めたが頓挫した)海外カーテンウォール子会社、国内シェアの考え方は説明すれば(潮田氏に)わかってもらえると思っていた。潮田氏を批判する気はないが、僕から見ると彼の考え方は現実的ではない。現実を知ることでもっと理解してもらえると思っていた。
僕は自分の意見は曲げなかったが、会社にとっても不利益にならない方法を潮田氏に話した。「そういう考え方があるなら、1週間後にもう1度話しましょうか」という話で終わった。もっと深く話せばわかってもらえる気がして、もしかしたら光が見えてきたとも思っていた。一緒にいた人も、最後に「2人とも、もう何年間かうまいことやっていけるよね」と話していた。これが10月19日(金曜日)のことだ。
その後、10月22日(月曜日)に取締役会があって、終わってから僕はイタリアに行った。10月26日(金曜日)の指名委員会が開かれているから、その間の火曜日から木曜日の間に何かがあった。少なくとも潮田さんの気が変わった。人の気持ちはわからない。食事のときには気持ちが変わっていたのかもしれない。
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