リクシル、渦中の瀬戸氏が明かす対立の真因 「話せば潮田氏にわかってもらえる気がした」

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だから10月27日(土曜日)の朝、イタリアで(潮田氏から)電話をもらったときは、本当に青天の霹靂(へきれき)だった。来週話をしようということだったのに、「君、辞めてもらうことになったから。指名委員の総意なんだ」という。

――調査報告書には潮田氏との間で「従前から深刻な経営上の意見の対立」があったとある。それは、MBO(経営陣による自社買収)やシンガポールに本社を移転するということではないのか?

そこは答えられない。僕は取締役なので守秘義務がある。会社が不利益になるようなことは話せない。そういう議論があったかさえ、答えることはできない。

プロキシーファイトのつもりはない

――今後、この株主提案をめぐってプロキシーファイト(議決権争奪戦)はしないのか。

地上戦のようなプロキシーファイトをするつもりはない。理屈で理解してもらいたい。説明を求められるのであればどこにでもいく。説明をして理屈をわかっていただいて、すべての株主にとってよいことを理解してもらう。

――5日の会見でも「正しいことをする」ことを強調していた。リクシルはモノタロウより売上高が1ケタ大きく、買収を繰り返して複雑化している。創業家の存在など、複雑な組織はうまく機能するのか。

経営はロケットサイエンスじゃない。持っているリソースの中で差別化できれば利益率を上げられる。経営は方向を決めて、そこに持っていくのがリーダーの仕事だ。

一般的に、経営の方向を決める戦略性に天才を求めるが、実はここはそんなに大変なことではない。例えば自動車業界では、AIを使ってシェアリングのビジネスモデルを作るという方向性がある。ここは多くの人の想像から大きく外れることはない。

どうやって進んでいくか。エクゼキューション(実行)が重要だ。そのときにエクゼキューションしやすい会社かそうでない会社かで差が出る。皆が同じゴールを共有しながら、それぞれが正しく判断できるようにすること。それが「正しいことをする」というポリシーだ。

モノタロウはそれが言わなくてもできた。小さい会社で自分たちがちゃんとやらないと潰れるかもしれないということがあった。ビジネスモデルやゴールもわかりやすかった。

住宅設備業界もゴールはわかりやすい。そのゴールに対して、昔からのトステムやINAXのやり方には、部外者から見てまったく理解できない行動様式が残っている。それを取り除くことができれば、リクシルを経営していくことは可能だ。

――リクシルの経営は、あらゆる住宅設備を手がけているという多角さが強みだった

例えばサッシ事業は設備産業で、稼働率をあげるのがいちばんだ。値段を下げてもシェアを上げれば勝てた。今は成熟しているからその戦略はとれない。限界がくると、縦と横に(同業か周辺業界の買収に)成長を求めた。

今、住宅設備は日本で成熟産業だが、世界では非常に成長している。日本の縦にも横にも展開しているものを世界に持っていくことが正解かは、考え直さなければならない。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と2人の娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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