リクシル、渦中の瀬戸氏が明かす対立の真因 「話せば潮田氏にわかってもらえる気がした」

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辞任した後、最初にやったのは本当は何が起きたのかというプロセスの再確認だ。昨年11月の取締役会では、皆がだいたい何が起きたか共通認識を持った。中には「基本的にはまずいけれど、やってしまった以上、(人事を)変えないほうが会社は混乱しない」という意見もあった。

そこで調査委員会を開いて、プロセスを検討しましょうとなった。

瀬戸欣哉(せと きんや)/1960年生まれ。1983年、住友商事入社。2000年、工事・工場用間接資材のネット通販「MonotaRO」(モノタロウ)の創業に参画し、同社取締役就任。2001年同社代表取締役。2016年からLIXILグループの取締役(現任)、代表執行役社長兼CEO。2018年11月にLIXILグループのCEOを辞任。2019年3月末で同社代表執行役社長を退任した(撮影:今井康一)

株価が下落して、株主対策用に西村あさひ(法律事務所)の弁護士を雇っていたが、調査委員会の弁護士に起用されたのも同じ西村あさひの弁護士だ。株主対策は現在の執行部を守ることからスタートする。違う弁護士とはいえ、同じ事務所の中から選ぶのは、本当に公正中立な第三者なのか疑問だ。

実際、1月に出てきた調査報告書は僕のヒアリング内容を都合のいいように選択し、執行部に有利なものになっている印象があった。さらなる議論を経て出てきた2月の報告書は、本文にウソは書いていないが、内容的には「潮田氏の決断はしょうがなかった」という(ポジティブな)ストーリーを作っている印象を受けた。

「間違ったプロセスで選んだ人には辞めてもらう」

不満はあったが、一応ヒアリングの内容は書かれている。僕は西村あさひが作った報告書の全文公開を求めたが、会社としては執行部が作った要旨を出すことになった。要旨は本文と違うことは書いていないけれど、都合の悪いことは取り除かれている印象だ。

要旨は「(手続きに)問題あったが、改善するから許してください」という内容で、誰が責任を取るかは書いていない。それはおかしい。取締役会が機能しないのであれば、機関投資家が株主総会で行動に出るのは当然のことだ。

機関投資家が招集した臨時株主総会もそうだが、今回はガバナンスという手続きの議論の中で、まずは間違ったプロセスで選んだ人に辞めてもらいましょうということ。そこ(経営方針をめぐる対立と手続きというガバナンスの問題)を混同するとわかりづらい議論になる。

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