88歳でようやく気づいた幸福な「年の取り方」

老いに抗わず受け入れて満足感を得るには

運動ばかりしていた男性が、88歳になってようやくたどり着いた境地とは(写真:MaCC/PIXTA)

88歳の私は現役の競技ランナーで、毎回レースの最後数百メートルはすべての力を出し切って全速力でゴールをする。人生のゴールも近づいており、ベストを尽くしてそこに達したいと思っている。

この最後の段階を乗り切るために、私は体を鍛えてきた。しかし、もっと自分の心に働きかけるべきではなかっただろうか。

いくら鍛えても「悪いお知らせ」がある

自分の体をジムに向かわせたりレースのスタートラインに立たせたりすることはたやすい。運動をしなければ、トレッドミルの上ではなくソファーの上にいる高齢者という獲物を狙うたくさんの捕食者を解き放ってしまうと自分にうまく言い聞かせてきた。

汗をかけばかくほど、医者は私にこう言い続けるのだ。「今の活動を続けましょう。そうすれば来年もまたお会いできますね」。そうやってこんな恐ろしい言葉をかけられるのを防いできた。「ゴールドファーブさん、悪いお知らせがあります」

一方で私の心はというと、自制することを好まないようだ。まるでそれ自体が心を持っているかのように。

私はインターネットの「脳ゲーム」を遊び半分でやっていて、昔を思い出しながら代数の問題を解いたり、バーチャルの電車を衝突しないように運行させたりしている。大学では講義を聴講し、ニューロフィードバックによる脳の電気活動の評価にも参加している。

しかし、これらはたまの気晴らしにすぎず、年を重ねるに従って体力を維持しようという私の決意とは別次元だ。

70〜90代の友人がたくさんいるにもかかわらず、加齢への対処法は、ジムではなく心の中でする選択であることに気づくのが遅すぎてしまった。

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