リクルート、37歳の司令塔が描く「新戦略」 リクルートの若き経営室室長と語る(上)

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今村:「全従業員にこういうスキルとスタンスを求めます」という人事開発の項目があるんですね。その中でいちばん重要なのが圧倒的な当事者意識。それに並行してあるのが、「やり抜く」「広く深く学び続ける」「チームとしての協働を追及する」など。

けっこうこの「やり抜く」というのがポイントかもしれないと思っています。やっていることはすごく当たり前のことばかりですが、それをものすごく細かいところまで考え抜く。アプリの開発にしても、雑誌やWEBサービスにしても、広告の台割にしても、流通にしてもそうです。徹底的にそのミッションを、他人事ではなくして自分事として「やり抜く」というところがうちの強さだと思います。

なぜ今村さんは会社を辞めないのか?

瀧本:それはすごくそうだと思います。たとえば僕がリクルートの人に「こういう市場調査をしたいのでアンケートをとってきてください」と依頼すると、普通の会社は「一応これだけやればやったことになるよな」という資料が上がってくる。でもリクルートは「本当にこれ全部取ってきちゃったんですか?」と、こちらが心配になるくらいのレベルのものを持ってくる。そこが全然、違います。

今村:ネットの時代になって競合の参入障壁も低くなり、リクルートと同じようなビジネスモデルの会社もいっぱい出てきている。でも結果的にうちとの違いは、その「やり抜く」ところだと思います。もちろん他社にもすごいところはいっぱいありますが、うちはオタクのこだわりみたいな、最後のオペレーションの力で負けない。商品を作る人もそうですし、営業もそうです。

瀧本:やたらと研修も多い会社ですよね。

今村:多いですね。これもDNAのひとつなのかもしれませんが、やっぱり人が価値の源泉なので、そこを磨き続けないと勝ち続けることはできないと、みんな実感していると思います。

瀧本:その一方で、辞める人は非常に多いでしょう。辞める人はなぜ辞めるのか。そしてなぜ今村さんは辞めないのか。

今村:やっぱり、「自分でこういうことをやりたい」という思いを持った人間が、他社より多いからかもしれません。そういう人は「リクルートの外に出たほうが、自分のやりたいことがやれる」と思ったらすぐに辞める。個々人のやりたいことを支える人事制度ももちろんありますが、もともと独立心の強い人が多いことが、退職率を上げているのかもしれません。

僕自身は、今まで4年に1回くらいの割合で異動しているので、その都度、新しいチャレンジをさせてもらっている。社内で自分のやりたいこと、やれることがある状態が今日まで15年間続いてきた感じですね。

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