夫の死で「遺族貧乏」にならない家計の備え方 遺族年金と死亡保険でどうやりくりするか
多くの専門家は「公的年金制度を知った上で、不足分を私的保険で補いましょう」と言いますが、実際に「遺族年金」をいくら受け取れるのかわからないという人も多いようです。改めて遺族年金制度について整理してみましょう。
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つがあります。自営業者など国民年金の加入者は「遺族基礎年金」の対象、会社員・公務員などの厚生年金の加入者は「遺族基礎年金」に加えて「遺族厚生年金」の対象にもなります。今回の勝木さんのケースでは、慶太さんが自営業で侑梨佳さんは年収100万円ほどのパート勤務ですから、現在のところ2人とも国民年金の第1号被保険者、つまり遺族基礎年金のみが対象となります。
ただし、受給の条件があります。遺族基礎年金を受給できる人は、被保険者または被保険者であった者が生計維持していた「子のある配偶者または(死亡した被保険者の法律上の)子」です。ちょっと難しい説明になりましたが、要するに「子のない配偶者」は受給できません。
また、死亡した被保険者に生計を維持されていたことも条件になります。年収850万円以上の収入または年額655万5000円以上の所得を将来にわたって得られない者は、生計維持関係にあると認められます。
さらに「子」の要件もあります。年金制度での「子」は「18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある子(つまり高校を卒業するまでの子ども)」「20歳未満で障害等級に該当する障害状態にある子」と、かつ「現に婚姻していないこと」です。それ以外の子は含まれません。
侑梨佳さんには、今8歳の子どもがいますし、慶太さんと「再婚」すれば16歳の子どももできることになります。慶太さんが亡くなった場合には「子」の要件を満たす子どもが2人いる配偶者として、遺族基礎年金が支給されます。再婚すれば、今受け取っている遺族基礎年金の受給権は失権します。
連れ子あり「再婚」と「事実婚」で遺族年金額に大差
では、もし2人が婚姻届を出さなければ、遺族基礎年金はどうなるでしょうか。
侑梨佳さんは慶太さんと事実上婚姻関係(生計維持関係)にあり、慶太さんが死亡した場合、被保険者(慶太さん)の16歳の長女と生計を同じくしているので、「子のある配偶者」として受給できます。しかし、婚姻届を出さない場合、侑梨佳さんの8歳の子どもは慶太さんと養子縁組をしない(法律的な親子関係がない)ことになるため、その子どもは年金制度上の「子」に該当しません。
そのため、遺族基礎年金の金額に影響が出てきます。
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