夫の死で「遺族貧乏」にならない家計の備え方 遺族年金と死亡保険でどうやりくりするか

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遺族基礎年金の年金額は2019年4月以降、定額78万900円に改定率(物価や賃金水準の変動を年金額に反映させる率)を乗じた額になります。これに、対象となる「子」の数に応じた金額が加算されて決まります。

1人目、2人目の「子」は1人につき22万4700円に改定率をかけた金額、3人目以降の「子」は1人につき7万4900円に改定率をかけた金額です。侑梨佳さんが再婚した場合、加算対象の「子」は2人いることになりますから、侑梨佳さんに支給される遺族基礎年金の年金額は、改定率を1とした場合、

78万900円+22万4700円+22万4700円=123万300円

となります。

しかし、慶太さんと婚姻届を出さずに今の生活を続けていった場合は、加算対象の「子」は1人(慶太さんの長女のみ)なので、

78万900円+22万4700円=100万5600円

となります。

慶太さんと再婚した場合も、現在16歳の慶太さんの長女が高校を卒業したら(18歳に達した日以降の最初の3月31日が終わったら)、「子」は1人となるので減額され、100万5600円になります。さらに、現在8歳の侑梨佳さんの長女も高校を卒業すれば、侑梨佳さんは遺族基礎年金の受給権を失くします。

遺族基礎年金とパート収入だけの生活になったら?

ここまで、慶太さんに万一のことがあった場合、侑梨佳さんがもらえる遺族基礎年金について見てきました。

もし本当に慶太さんが亡くなったら……。侑梨佳さんは①遺族年金に加え、②それまでの貯蓄、③侑梨佳さん本人の収入で生計を立てていくことになります。

侑梨佳さんの現在のパート収入は100万円ほど。亡くなった慶太さんと再婚していたとすると、先ほど計算した遺族基礎年金と合わせて223万円の年収で生計を立てなくてはいけません。住宅ローンは団体信用生命保険で相殺されますが、毎月の生活費は約18万6000円、しかも2人の「子」がいなくなれば遺族基礎年金はなくなり、侑梨佳さんの収入だけになります。

これを補完するためには生命保険が必要ですが、どのように考えればいいのでしょうか。

侑梨佳さんと慶太さんの家計の現在の可処分所得は600万円。現在貯蓄額は1000万円と子どもの学資保険がそれぞれ200万円ずつ、合計1400万円です。生命保険の加入を考えるときには、まず必要貯蓄率を出し、それを守れる範囲で生命保険料を決めることです。保険料が高すぎて貯蓄ができないという状態にならないようにしましょう。

次ページ侑梨佳さんの家計から必要貯蓄率を計算すると…
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