認知症になった親のお金を適切に管理する方法 法定後見制度を使うのはできれば避けたい

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親が認知症になったら、お金を管理するのはなかなか難しい。最も適切な方法とは?(写真:アイビー / PIXTA)

つい最近、最高裁判所が全国の家庭裁判所に対して、「認知症の高齢者等の後見人には被後見人の親族を選任することが望ましい」との見解を通知したという(「朝日新聞」3月19日朝刊)。

肉親が認知症になったら資産管理はどうすればいい?

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これまで、成年後見の利用を家庭裁判所に申請すると、家族などが自分を後見人に推薦しても、弁護士・司法書士などの専門職が選任される場合が多かった(「法定後見」と呼ばれる)。家族・親族による財産の流用や相続時にもめごとが起きたりするケースを避けるために専門職を選任するのだが、

(1)本人や家族の事情を知らない専門職がいきなり財産を管理する
(2)家族に本人の財産をあまり潤沢に使わせない傾向がある
(3)後見人に支払う費用が高い
(最低毎月2万円、管理する財産額によってアップし、不動産の処分・保険の解約などを行うと追加の支払いが生じる)、などの不具合があって、利用が伸びなかった。

最高裁の判断は妥当だと筆者は思う。時に不正があるかも知れないが、家族・親族の方が本人をよく知っているので総合的には「圧倒的に」好ましいだろう。

ただし、これで「油断」して成年後見の申請を行うのは待った方がいい。別の落とし穴があるのだ。

1つには、個々のケースは家庭裁判所が判断するので、家裁の判断によっては専門職の法定後見人が付く場合があり得ることと、親族などが後見人になった場合でも専門職が監督人として指名されるケースが多いことだ。監督人にも、報酬の支払いが発生する(筆者が入手した東京都下の某家裁の書類では、管理財産が5000万円未満の場合月額1万円〜2万円、5000万円以上の場合2万5000円から3万円がメドと書かれている)。

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