監督人は、本人や家族が頼んで付けてもらうものではない。被後見人の財産から小さくない報酬を払うことに納得が行かない家族がおられよう。後見人の行動が監督されることは、本人にとってメリットがあるとの理屈なのかも知れないが、国や自治体が報酬を支払えばいいのではないかと筆者は思う。
認知症の患者数が全国で500万人くらいいると推定されるのに対して、成年後見制度の利用は21万8000件(2018年12月)にすぎない。朝日新聞によると、これまで家裁が親族を後見人に選んだ割合は約23%に過ぎないという。また、専門職が選任されるケースが過去十年間、毎年増え続けていた。
専門職の後見人が本人と家族・親族に望ましい形で本人の財産を管理し使用てくれるケースもあるのだろう。しかし、多くは本人に殆ど会うこともなく、家族の生活費等に本人の財産を使うことを渋り(月額10万円くらいしか支払わない場合が多いと聞く)、年に一度家裁に簡単な財産管理の報告書を書くだけで、年間何十万円もの費用を取られるのだから、家族の不満は大きい。しかも、後見人は本人が辞任しない限り被後見人が生きている間ずっと付いたままなのだ。
率直に言って、士業ビジネス(弁護士、司法書士)の新たな食い扶持になっているのではないか。邪推するなら、法曹界には、法定後見の利用が少ないので、親族が後見人になる形で成年後見制度を普及して、士業の人々に監督人ビジネスを拡げようという意図があるのかも知れない。出来れば法定後見は避けたい。そして、監督人も要らないと思うのが普通だろう。
法定後見を避ける方法とは?
後見人は、四親等以内の親族か自治体が家庭裁判所に申請することができる。親族間に意見の対立があるケースなどでは、相続の争いの前哨戦として、本人の財産を家族に使わせないために後見を申請されるというようなケースもあり得る。また、銀行取引や不動産取引が出来なくなって、「取引のためには後見人を付けて下さい」と銀行や不動産業者に言われて、家族が自分を後見人として推薦したものの、専門職の法定後見人が付いたり、自分が選任されても監督人が付いたりするケースがあるようだ。
こうした事態を避けるにはどうしたらいいのか。
方法は2通りある。何れも本人が意思表明できる状態であるうちに対策を取ることが必要だ。
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