「変化を恐れるな」ホーキング博士最後の警句 AI時代に人間に課せられた役割とは何か

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大規模公開オンライン講座(MOOCs)とエンターテインメントでは、対話型の個別指導が役に立ちそうだ。歳をとらず、普通ならできないような演技のできるデジタルな俳優が登場したら、すばらしいのではないだろうか。未来のアイドルは、生身の人間ではなくなるかもしれない。

デジタルワールドにどうコネクトするかは、将来的に何がどれだけできるようになるかを決める鍵になるだろう。最大限にコンピューター化された都市の、最大限にコンピューター化された家庭には、直感的にやすやすと操作できる道具類が装備されるだろう。

タイプライターが発明されたとき、機械との相互作用の仕方がそれまでの縛りから自由になった。それから約150年後には、タッチスクリーンが、デジタルワールドとのコミュニケーションに新たな扉を開いた。最近のAI研究のランドマークである自動運転車や囲碁でコンピューターが人間に勝利したことなどは、これから起こることの前触れにすぎない。

AIは私たちの知能を支えアドバイスをする

AIテクノロジーには巨額の資金が投入されており、私たちの生活のかなりの部分は、すでにこのテクノロジーによって形づくられている。これから数十年のうちに、AIは社会のあらゆる面に浸透し、医療、仕事、教育、科学を含む多くの領域で私たちを知能面で支え、アドバイスをくれるようになるだろう。すでに成し遂げられたことは、これからの数十年間に起こることに比べれば色褪(いろあ)せて見えるだろう。私たちの頭脳がAIで増幅されたら何ができるようになるかは、予測もつかないほどだ。

この新しいテクノロジー革命のさまざまなツールを使えば、人間はより良い暮らしができるようになるだろう。たとえば、脊椎損傷の麻痺を取るためのAIが開発されつつある。シリコンチップ・インプラントと、脳と身体をつなぐワイヤレス・エレクトロニック・インターフェースを作れば、そのテクノロジーのおかげで、頭のなかで考えるだけで、自分の身体の動きを制御できるようになるだろう。

コミュニケーションの未来は、脳とコンピューターのインターフェースにあると私は信じている。インターフェースには、頭蓋骨の上に電極をつけるものと、頭蓋のなかに埋め込むインプラント方式のふたつの方法がある。

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