「変化を恐れるな」ホーキング博士最後の警句 AI時代に人間に課せられた役割とは何か

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第一のものは、霜のついたガラス越しにものを見るような感じになるだろう。二番目の方法のほうがインターフェースとしては優れているが、感染のリスクがある。もしも人間の脳をインターネットに接続することができれば、ウィキペディア全体がその人のリソースになるだろう。

人間と装置、そして情報が相互にコネクトされるようになるにつれて、世界が変化する速度はどんどん上がってきた。計算力は増大し、量子計算はすみやかに実現に向かっている。量子計算は、計算速度を指数関数的にスピードアップさせることで、人工知能に革命を起こすだろう。また量子計算が実現すれば、暗号化の方法にも進展があるだろう。

量子コンピューターは、人類の生物学的な面まで含めて、いっさいを変えるだろう。DNAを正確に編集する、クリスパーと呼ばれるテクニックがすでに存在している。これは細菌の防御システムにもとづくゲノム編集の技術で、ターゲットを正確に定め、遺伝コードを編集することができる。

遺伝子操作の最良の意図は、遺伝子を修正して、起こってしまった突然変異を元に戻すことにより、科学者が遺伝病を治療できるようにすることだろう。

変化を私たちの役に立つものにする

だがDNAの操作に関しては、それほど気高いとは言えないさまざまな動機がある。遺伝子工学をどこまでやるかという問題は、これからどんどん緊急度を増すだろう。運動ニューロン疾患─私のALS(筋萎縮性側索硬化症)のような病気─を治す可能性を探ろうとすれば、その危険性を垣間見ないではすまない。

知能とは、変化に適応する能力と特徴づけることができる。人間の知能は、変化する環境に適応する能力を持つ者たちが、何世代にもわたって自然選択を受けてきた結果なのだ。変化を恐れてはならない。必要なのは、その変化を私たちに役立つものにすることだ。

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