実質賃金下落の本質は国民への「インフレ税」だ

「普通の人の景気認識」が圧倒的に正しい理由

国民の8割が景気回復を実感できていないのは、実質賃金が増えないからだ(写真:bee/PIXTA)

これまで「実質賃金」という指標は、名目賃金(現金給与額)の陰に隠れてほとんど注目されたことがありませんでした。その主な理由は、エコノミストと呼ばれる専門家の多くが実質賃金を経済指標としてあまり重要視してこなかったからです。

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この連載や拙書などでは今まで「GDPが国民生活の実感からかけ離れた指標になりつつある」という判断から、実質賃金を最も重要な経済指標の1つとして一貫して取り上げてきました。ですから私は、厚生労働省の統計不正によって実質賃金が多少は注目されるようになったのは、本当の日本経済、ひいては国民生活を考えるうえで重要な一歩として捉えることができると思っています。

実質賃金は2013年以降「景気拡大」なのに下落

そこで、私がいろいろな機会で提供している2つのグラフをご覧ください。まず下のグラフについては、2000年の実質賃金と名目賃金の双方を100として、それ以降の推移を表したものです。このグラフを見て一目瞭然なのは、2012年までは実質賃金と名目賃金は密接に連動する動きをしていたのに対して、2013年以降はその連動性が完全に崩れてしまっているということです。

とりわけ注目していただきたいのは、日本は2012年12月から景気拡大期に入っているにもかかわらず、2013年~2015年の実質賃金の下落幅は累計して4.2ポイント(下落率では4.6%)〔※厚労省の当時の統計では4.8ポイント減、現在の修正した統計では4.3ポイント減/2015年=100で計算〕にまでなっていて、この下落幅は2007年~2009年の「2008年のリーマンショックをはさんだ3年間」の5.2ポイント(下落率では5.4%)に迫っていたということなのです。

おそらく、2014年~2015年に世界的に原油価格が暴落していなかったら、リーマンショック期の下落幅を凌駕していたのは間違いなかったでしょう。

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