実質賃金下落の本質は国民への「インフレ税」だ

「普通の人の景気認識」が圧倒的に正しい理由

そのことを踏まえたうえで過去の個人消費を振り返ってみると、1990年代のバブル崩壊以降で個人消費がマイナスになったのは、金融システム危機で貸し渋りが強まった1998年、リーマンショック期の2008年~2009年、東日本大震災のあった2011年、そして実質賃金が大幅に下落した影響の残る2014年~2016年の合計7年間だけです。

ここで注意を払わなければならないのは、個人消費が3年連続でマイナスになったのは、終戦直後にまでさかのぼっても2014~2016年の1回しかないということです。この事実は非常に重いはずです。

政府の見解よりも、国民の実感のほうが正しい

そのような結果が出る前から、私は国民にとって大事なのは名目賃金が上がったかどうかではなく、物価変動の影響を加味した実質賃金が上がるかどうかであると判断し、実質賃金が2013年から2014年、2015年と下げ続けている過程で、繰り返し実質賃金の重要性を訴えてきました。

また、私は2013年にアベノミクスが始まった当初から、「アベノミクスの恩恵を受けられるのは、全体の約2割の人々にすぎないだろう」とざっくりとした感覚で主張してきましたが、私がなぜ約2割の人々だと言ったのかというと、富裕層と大企業に勤める人々の割合が大まかに言って2割くらいになるからです。

産経新聞のように政権を擁護しがちなメディアであっても、朝日新聞や毎日新聞のように政権批判が過ぎる傾向があるメディアであっても、日本経済新聞のように政治に比較的中立なメディアであっても、その後の世論調査ではおおむね、同じような結果が出ています。すなわち、景気回復を「実感している」と答えた人々が2割前後、「実感していない」と答えた人々が8割前後だったのです。

アベノミクスが円安によって株価や企業収益を高めるかたわらで、輸入品の価格上昇によって人々の実質賃金を押し下げるという弊害をもたらすことは、最初からわかりきっていたことです。もし2019年3月時点で同じ調査をしたとしても、国民のおよそ8割が景気回復を実感できていないという結果が出ることでしょう。言い換えれば、普通に暮らす8割の人々は、未だにアベノミクスの蚊帳の外に置かれてしまっているというわけです。

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