木村拓哉の「金麦CM」が示すタレント起用の深み カローラの菅田&中条、いち髪の川口春奈も

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金麦『新しい金麦』篇 15秒 木村拓哉 サントリー CM
あなたのお気に入りのCMは、何位にランクインしているだろうか?
CM総合研究所が毎月2回実施しているCM好感度調査は、東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象として、関東在住の男女モニターが、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに思い出して回答するものだ。
最新の2019年3月前期(2019年2月20日~2019年3月4日)調査結果から、作品別CM好感度ランキングTOP30を発表。その中から、CM総研が注目するCMをピックアップして、ヒットの理由に迫る。

1年間に東京キー5局で放送されるテレビCMの数は約1万5000〜1万8000作品にも上る。そのうち、CM総合研究所が実施するCM好感度調査で一般消費者モニターに「好きなCM」としてノーヒントで思い出してもらえるCMは半分にも満たない。

毎月2回実施するCM好感度調査では、1回の調査期間中に放送される約3000作品のCMのうち、モニター1人以上が想起するのは3分の1にあたる800〜900作品で、1人当たりの回答数はわずか2.4作品となる。つまりCMで自社の情報を消費者に深く届けるには、3000作品のうち少なくとも3本の指に入ることが求められるということだ。

テレビCMという土俵の上では、企業や商品の業種・カテゴリーにかかわらず、同時期に出稿しているすべてのCMが、消費者の記憶の奪い合いにおいて“競合”と化す。その熾烈な環境下で有効な手法の1つであるのが有名タレントの起用だ。

日々オンエアされるCMのうち、有名タレントが出演するCMがどれくらいあるかご存じだろうか? 時期により多少の増減はあるものの、年間では全CMの約3分の1というのが答えだ。放送回数で見ると、有名タレントを起用したCMの放送回数は全体の約半分で、これも毎年ほぼ変わらない。

思ったより少ないと感じるかもしれないが、実はそのタレント出演CMが、CM好感度となると全体の7割のシェアを占めるのだ。作品数にして3割、放送回数にして5割、一方でCM好感度では7割。いかに有名タレントを起用したCMが視聴者の記憶に残りやすいかがわかるだろう。

木村拓哉が持つ「信頼感」と「説得力」

今期のCM好感度調査で6位にランクインしたのは木村拓哉を新メッセンジャーに起用したサントリービール『金麦』のCMだ。金麦は “幸せな家庭の食卓に最もふさわしい新ジャンル”をコンセプトに2007年に発売され、以来12年間檀れいがCMに出演している。

これまでのCMは、働く男性のために食事や金麦を用意して待つ女性を描いた人気シリーズだったが、共働き世帯が増加し続ける現在のライフスタイルの中で、より共感を得られるよう、中身・パッケージに加えコミュニケーション、プロモーションもすべて刷新したという。

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