木村拓哉の「金麦CM」が示すタレント起用の深み カローラの菅田&中条、いち髪の川口春奈も
キャンペーンメッセージは「気持ちいいほど、新しい。」とし、刷新に向けた意思をストレートに表現している。CMでも“スポーティーな気持ちいい走り”に加え、ベーシックという概念がまったく新しい次元に進化したことを伝えなくてはならなかった。
以前の自動車CMは街や大自然の中を走り抜けて、“走りのよさ”を感じさせるイメージ訴求が主流だったが、最近は燃費のよさや安全性能、収納力といった機能説明が多くなっていた。もちろんカローラ スポーツも、遠隔で走行アドバイスや車両診断を受けられるサービスをはじめとしたコネクティッド機能、スポーティーなエクステリアデザインや上質なインテリアデザイン、高級車並みの快適な走り、最新の予防安全パッケージなど、消費者に伝えたいことは山のようにあるはずだ。
このCMは、菅田将暉と中条あやみがMONGOL800の『あなたに』を歌いながら、海が見える山間道路をさっそうとドライブするというシンプルなもの。若年層から絶大な人気を誇る2人が持つ“次世代”のイメージと、彼らの自然体で楽しそうな様子を映した映像で、カローラ スポーツ=“進化した”“変わった”“気持ちいい”“楽しい”というイメージを直感的に届けた。
本能的に視聴者の心を奪ったCMの好例
消費者モニターからは「出演者が自然体でいい。クルマでドライブに出かけたくなる」「こんな感じでドライブしてみたいと感じた」「斬新なスタイルにカッコよさを感じる」「楽しそうに2人で歌いながらドライブしているところがとても新鮮でいいと思う」などの感想が寄せられた。実際に自動車のような高額商品を購入するとなれば、イメージのよさだけではなく性能や価格などさまざまな条件と突き合わせることになるだろう。
だが、消費者が最終的なベネフィットとして求めているのはスペックそのものではなく、その商品を通して得られる幸せや喜びだ。クルマのCMに限らず、商品CMでは機能性や、競合商品との差別化ポイントを詰め込んでいることが多い。商品情報を伝えるという広告の役割を考えれば当然なことだ。
そのようなCMが数多く放送されている中で、『カローラ スポーツ』のように一段突き抜けたステージで商品を見せられると本能的に心を奪われてしまう視聴者は少なくない。そしてこの手法にとって、タレントの持つイメージ・記号が言葉よりも多くの情報を受け手に届けることができることは明白だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら