10代読書女子が「無気力・溺愛男子」を好む理由

好まれる男子像は一変、性描写も控えめに

ケータイ小説発の書籍の帯に並ぶ「涙する」「泣いた」「超号泣!」のキャッチコピー。読後の感情を全面にアピールすることで10代女子を引きつけている(東洋経済オンライン編集部撮影)
2000年代に起こった“ブーム”のあとも“ジャンル”として定着し、書籍化されるとコンスタントに10万部以上のヒット作が出続けているケータイ小説。しかし、そこで描かれる男性像や書籍化されたときに好まれるパッケージはかつてとは大きく変わっている。そこから今の10代女子のニーズが見える。
前回記事(ブーム後の「ケータイ小説」が今も読まれる必然に続き、ガラケー時代からこのジャンルをけん引しヒット作を送り出してきた最大手、スターツ出版の小説投稿サイトを手掛かりに、ライターの飯田一史氏が解説する。

スターツ出版が運営する会員数89万人の小説投稿サイト「野いちご」のランキング上位作品や書籍化されたヒット作を読むと、恋愛ものでは「キスまで」のものばかりで、それ以上の性描写はほとんどない。2000年代のケータイ小説ではレイプシーンは珍しくなかったことを考えると、大変化である。

もっとも、そもそも「野いちご」では子どもも読むことに配慮し、展開上必要のない性描写は利用規約で禁止しているが、そういったサイト側の規制だけでは説明がつかない。読者側のニーズが変化していると考えるべきだろう。

「ケータイ小説が広まったのは、携帯でネット接続が可能になってすぐの頃。ネットの利用の仕方自体が『あやうい世界を見に行く』ような感覚から始まっていたので、刺激的な物語が求められたのかなと。でも今の中高生にとってネットは身近なもので、危ないものをのぞき見したいという感覚ではないんだと思います」(ウェブサイトグループ編集長・森川菜々氏)

性描写のソフト化は当然のなりゆき

また、1974年から約6年おきに実施されている日本性教育協会「青少年の性行動全国調査」を見ても、第1回調査以来、中学生~大学生まで性別を問わずデート、キス、性交経験率は総じて上昇傾向にあったが、2011年調査ではついに反転し、最新2017年調査でもおおむね下落傾向にある。

経験率だけでなく性的行動への関心自体が減退していることを思えば、10代向け恋愛小説における性描写のソフト化は当然のなりゆきなのだろう。

「『野いちご春のファン祭り』などのファンイベントで直接姿を見ていても、あるいはサイト上でのやりとりを見ても、ほとんどの読者はちゃんと勉強をして、将来を考えているような素直な子で、息抜きに読んでいるという印象です。非行に走りそうなタイプの子は見かけません。

昔はサイト内の掲示板で揉めごともありましたが、最近では非常に少なくなっていますし、仮に起こったとしても、ユーザー同士でなだめあって収束していくことが多いです」(森川氏)

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