10代読書女子が「無気力・溺愛男子」を好む理由 好まれる男子像は一変、性描写も控えめに
ハッピーエンドの徹底、という意味で興味深いことはほかにもある。恋愛もので女子視点から描いて好きな男子と両想いになることを描いたあとで、男の子側の視点からもヒロインとの出会いからの心情を短くたどり直すような「男子側の視点」を挿入するパターンが確立されていることだ。
しかも多くの場合、男子も出会ったときから主人公の女子のことが好きだった、ということがわかるのである。
好まれるのは読む前に読後感がわかるもの
「読者が作家さんに送る感想を見ても“男の子の気持ちが知ることができて良かったです”というものが多く、読者が好むポイントのひとつです。
マンガではモノローグのかたちで登場人物みんなの気持ちが描けますが、小説だと一人称で書くと視点人物以外の気持ちは描けません。だから男子側の視点でも描くことで、確実に両想いであること、お互いの真意が確認できるのがよいのだと思います。“両想いな2人が、ハッピーエンドになるまでのすれ違い”が読みたい、という感じでしょうか」(長井氏)
お互いの気持ちが「わからない」のはイヤ、「わかる」もののほうがよい――それも、読む前からわかるほうがなおのことよい、ということのようだ。
「あらすじの時点で登場人物の気持ちが見えないものは好まれません。ですから書籍化するときは、カバーからも男女の関係性がどんなものかわかるようにしています。タイトルやパッケージを見るだけで話の全貌がわかるものが人気です。送り手としては、読者に想像力を働かせて楽しんでもらいたい気持ちもありますが、作品を受け取る側は、よりイメージしやすいもの、すぐに伝わるインパクトがあるもの、自分の気持ちに瞬間で共感できるものを求めているのかな、と」(第1編集グループ部長兼スターツ出版文庫編集長・篠原康子氏)
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