キャッシュレス普及でくる信用格差社会の恐怖 クレジットスコアが重視される社会に

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となると「やっぱりカード決済は儲からない」とやめる中小小売店が増えるんじゃないか。そうならないよう、とにかくオリンピック前までの9カ月間が勝負でしょうね。中小のお店にどれだけ決済端末を設置させて、その間に店にも消費者にも慣れさせて、もうカードから離れられないようにしないと。

その点、今最前線で各社火花を散らしてるQRコード決済は導入に専用機器が不要で、加盟店手数料も低く抑えられている。決済から入金までもカードの15〜30日に対し、即日などと短い。中小店にとってこれは魅力です。

クレジットスコアがモノを言うように

──ところで、岩田さんが最も懸念されているのが、その先に予想される“信用格差社会”です。

岩田昭男(いわた あきお)/1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大学院修士課程修了。月刊誌記者、テレビ局勤務などを経て、1990年独立。NPO法人「消費生活とカード教育を考える会」理事長も務める。近著『キャッシュレスで得する! お金の新常識』ほか著書多数(撮影:梅谷秀司)

キャッシュレスはスマートだけど、ポイントサービスの延長線上にあるのが信用スコアではないか。

支払いの多くがクレジットカードのアメリカでは、過去の返済履歴、カード所有枚数、借入残高などの情報が記載されるクレジットヒストリーを基に、各個人の信用度=クレジットスコアという数値が割り出される。一般市民の点数化ですね。アメリカの暮らしでは何かにつけクレジットスコアが最重視される。だからみんなクレジットスコアを上げることに躍起です。

独立して渡米した私の友人は、仕事は順調なのに現地のクレジットカードが作れなくて困っていました。アメリカでのクレジットヒストリーがないからカード会社に新規発行してもらえない。これではローンも組めない、引っ越しもおぼつかないと。カードを持てない人や、持っていてもスコアの点数が低い人は悲惨です。

──高スコアの者はさらに富み、低スコアの者はさらに貧しくなる、と。

動画配信のネットフリックスに、近未来SFドラマ「ブラック・ミラー」というシリーズがあって、その中に信用格差社会の行き着く先を描いた「ランク社会」という作品がある。これは必見です。他人同士が互いに人物評価し合って5段階評価で星を送り合う。評価してくれた人の数や星の数で総合点が出され、その点数によって日常生活での待遇が決まるという世界。星の多い人から高評価をもらうとより点数が上がるので、付き合う人間も選ばなきゃならない。

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