ポストGoProの「Insta360」は一体何が凄いのか

「360度カメラ」がビデオカメラを駆逐する

市場調査会社のMarkets and Marketsは、2016年の360度カメラ市場は3億4770万ドルだったが、2023年には16億3000万ドルに達すると予想している。この市場が成長しているのは、360度カメラが“高画質指向”のカムコーダ(ビデオカメラ)を除くほとんどの用途で多くの利点をもたらすからだ。

動画編集はトリミング、倍速、スロー、BGM付与などが簡単に行える。特定のタイミングで、見てほしい視線への移動を指定しておくことなどもできる(筆者撮影)

1つは全方向の映像があることを強みに、極めて強力な手ぶれ補正が実現されていることだ。flow stateと名付けられた手ぶれ補正技術は、1メートルほどの棒の先にInsta360 EVOを取り付け、歩きながら動画を撮影しても、まるで業務用のステディカムを使っているかのように安定した映像が得られる。

全天球カメラの映像は、見るときに好きな方向に視線を向けられるインタラクティビティがあるため、編集ツールを用いれば撮影後に通常の動画・静止画へと好きな方向、画角で切り出すこともができる。

サーフィンなどのマリンスポーツ、スノーボードなどのウィンタースポーツでは、必ずしも同じ方向の固定カメラ映像が面白いとは限らない。そのときどきのシチュエーションに合わせ、後から任意の方向、画角の動画を切り出せる。

現状、Insta360シリーズにはGoPro並みの防水製を単体で持つ製品はないが、いずれはアクションカム市場を侵食していくだろう。両製品とも高スペック・高機能であるにもかかわらず、GoPro HERO 7と同等の価格にまで落ちてきた。

Insta360 EVOの価格は、4Kアクションカムの代表格であるGoPro HERO 7(5万3460円)とほぼ横並びだ。

大股で早歩きしても手ぶれはほとんど気にならない(筆者撮影)

ビデオカメラ市場は今や「アクションカム」が多数派に

Insta360シリーズが注目されているのは、放送局などプロフェッショナル向けに360度カメラを提供する技術力を備えながら、コンシューマー向けにも積極的に低価格かつ高性能な製品を展開している点にある。

ライバルにはリコー、サムスンのほか、アクションカム市場では圧倒的ナンバーワンのGoProも参入している。しかしInsta360は製品バリエーションも広く、グローバルで4~5割程度を占めているとみられる。

カムコーダ市場が縮小し、ビデオカメラ市場は今や台数ベースでは圧倒的にアクションカムが多数派になっている。もちろん、スマートフォンの影響も大きい。高画質な4Kビデオ撮影機能は当たり前になっているほか、手ぶれ補正などの付加機能も進化している。さらに通信機能と統合され、アプリからも呼び出せるのだからカジュアルな動画撮影の道具としてカムコーダの存在意義はなくなった。

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