「ブレグジット」はなぜこれほど迷走するのか くすぶる「合意なきEU離脱」の偶発リスク
カオス(混沌)はさらに先へと持ち越されるのか――。
イギリスの欧州連合(EU)からの離脱、いわゆる「ブレグジット」をめぐって、イギリス議会下院が3月12日に離脱協定の修正案を大差で否決。13日には「合意なき離脱」を否決し、14日には離脱期限を今月29日から欧州議会開会直前の6月末まで「延期」することを可決した。
ただ、この期限延期は20日までに離脱協定案を再び議会で採決し可決されるという条件付きだ。もしまた否決された場合は「さらに長期の延期が必要になる」という方向だけが示され、具体的な方針は明記されていない。今後も視界不良の迷走が続く懸念は強い。
新聞各紙は議会や政権を批判
イギリス内の混迷ぶりは、現地の新聞各紙の1面トップを見れば明らかだ。議会が離脱協定を否決した後、各紙は次のように報道している。
離脱支持派のサン紙は「またもカオスに突入。国民投票から993日たってもEU離脱に近づいていない」と書き、デイリー・メール紙は「“愚かな下院”がブレグジット遂行の約束を破った」と議会を痛烈に非難した。
一方、野党・労働党寄りのガーディアン紙は「(メイ首相にとり)離脱期限16日前の破滅的な敗北」と強調し、デイリー・ミラー紙は「メイ氏の降伏はイギリスをさらに数カ月のカオスに直面させる」と保守党のメイ政権を批判。また、経済紙のフィナンシャル・タイムズ紙は、「メイ氏はブレグジットの制御を失った」「メイ氏の権威はズタズタに」と、現政権によるEU離脱政策の失敗を厳しく指摘している。
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