「こぐまのケーキ屋さん」作者が送る快活な人生 「自分も予想しなかった自分」がそこにいた

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そんな折、漫画家のとよ田みのるさんに、小学館の謝恩会に誘われた。

カメントツさんは会場で、周りの漫画家さんを盛り上げるよう心がけて話をしていた。そうしていたら、『ゲッサン』の副編集長の目に止まった。

『カメントツの漫画ならず道 1』 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

「『カメントツって誰だ?』って思って、その場でウェブを検索してくれたみたいです。面白いと思ってくれて『今、エッセイ漫画描いている人いないから、描かないか?』と頼まれ、そのまま連載が始まりました。ネットに描いていなかったら副編集長に気づいてもらえなかったわけなので、オモコロで描いていて本当によかったです」

『ゲッサン』では、さまざまな漫画家にインタビューをする連載を始めた。

西原理恵子さん、青山剛昌さん、あだち充さん、とそうそうたる面々に話を聞いた。

「さまざまな漫画家さんに話を聞いて、息をするように漫画を描いている人って本当に強いなって思いました。僕も頑張ろうという気持ちになりました」

カメントツさんが漫画を描く原点は“誰かを楽しませたい”だ。教室の隣の席の友達に、先生の似顔絵を描いてあげて笑わせるみたいな感じだという。

『こぐまのケーキ屋さん』の誕生秘話

ある日、落ち込んでいる友達のために、4コマ漫画を描いてあげようと思った。

「ふと、キャラクターものの作品を描いてみようかな、と思いました。実は今までほとんど描いたことはありませんでした。

そして『こぐまのケーキ屋さん』を描いて友達に渡したらすごく喜んでくれました。そんなに受けるんだったらネットにも上げてみようと思いました」

ただ、みんなに

「あのカメントツがこんなキャラもの描いたの?」

って言われるのは、少し恥ずかしかった。照れ隠しのための2話目を考えた。

コグマが大きくなってヒグマになり、野生の血にあらがえずお客さんを食べてしまう。そして裁判を受けて『コグマの刑期(ケーキ)30年』というちょっと残酷なオチの漫画を描いた。

1本目の漫画をアップしたとき、ツイートのインプレッションは2100万を超えた(筆者撮影)

「2本同時にツイートするか、1本ずつツイートするか、迷ったんですよ。でも、いったんは“こんなにかわいい漫画描いたの?”と思われたかったんです。だから、まず1話だけツイートすることにしました」

そしてカメントツさんは『こぐまのケーキ屋さん』をツイッターにアップした。

「軽い気持ちでアップしたんですが、それからはリツイートの知らせが鳴り止みませんでした。ズン!! ズン!! という感じでリツイート数が増えていきました」

最終的にはリツイート数は10万8000件以上になった。ツイートのインプレッション(ツイートを見た人の数)は2100万人を超えた。

次ページ1話しか載せていないのに複数の出版社から問い合わせがきた
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