働いているうちに今度は、
所属しているのもそれはそれできついな
と思うようになり、数年で退社した。
しばらくフリーターをしていたが、25歳のときに大企業の工場に勤務した。
「肉体的には工場で働くのが向いていました。体は毎日元気で“工場で働きたい!!”って思っているんです。でも反面、精神は開放されたがっていました」
カメントツさんは、なんとか精神を満足させられる方法はないかと考えた。そこで
作業中、脳内で物語を作ればいい
と思いついた。
妄想しているうちに、作品づくりへの思いが高まった
劇とかコントを脳内で創作しながら工場で働けば、肉体も精神も両方満足させられるって気づいたんです。
工場での仕事が始まるときに、
“今日は何を考えよう”
と、じっくり1時間ほどかけてテーマづくりをする。
“好きなあの映画の続編を作ろう”
“昨日出会った変なオジサンを他人に紹介する時は、どうお膳立てするか考えよう”
“ガンダムに勝てるザクを作るにはどうしたらいいだろう?”
などさまざまなテーマを考えた。
「2年間、妄想を続けました。毎日、妄想を繰り返していると、ひとかどの妄想ができるようになりました。
仏教に護摩行ってあるじゃないですか? 木のお札を燃やし続けて、仏教やお釈迦様のことを考え続けるっていう修行です。当時はクリエイティブな護摩行をやっていたという感じですね。物語を生み出すコツをつかめたと思います」
そんな日々を繰り返すうちにだんだんと妄想だけではなく、具体的に作品を作りたいという思いが高まってきた。
どうやってアウトプットすればよいのか、考えた揚げ句、
漫画を描いてみよう
と思いたった。
「27歳の時にはじめて漫画を描きました。エッセイマンガだったんですけど、脳内の面白さが他人に伝わったんですよ。心から“わーよかった!!”って思いました」
小さい頃からの悩みだった“人に脳内にある面白さを伝える難しさ”が少しは解消されたと思った。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら