「こぐまのケーキ屋さん」作者が送る快活な人生 「自分も予想しなかった自分」がそこにいた

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「武闘派の父親は『殴られたら殴り返せ』と言うし、先生は『右の頬を殴られたら、左の頬を出せ』と言う。言ってることはバラバラです。誰にも助けてもらえず、いつしか引きこもるようになりました。以来ずっと引きこもっていたから、英語もしゃべれるようになりませんでした。

その頃、家で描いてた絵がけっこうヤバイです。ジェイソン(映画『13日の金曜日』シリーズに登場する殺人鬼)が千手観音みたいになってて、全部の手に人の首を持ってる……みたいな絵でした」

小学校5年生になって、帰国することになった。

「父は、本当はまだアメリカにいたかったんだと思います。ただ僕がボロボロになりすぎてました。『夢遊病、鬱、不登校』で憔悴しきっていました。見るに見かねて日本に帰ることにしたんでしょうね」

日本に帰ってきたが、日本でもいじめに遭ってしまった。

「逃げろ!」と言ってくれる恩師に出会えた

小学校6年生のときに、担当の教師が

「このまま地元の中学に進学したら、もっとイジメられるかもしれない。お前がいる場所は、ここじゃないぞ」

と助言をしてくれた。

「お前がいる場所はここじゃないよ。逃げろ!」と言ってくれた教師ってすごいと思います(筆者撮影)

「先生はマイノリティーを経験したことがある帰国子女が多数在籍する中学校を推薦してくれました。両親を説得してくれて、無事その学校に行けることになりました。めちゃくちゃ厳しいけど、ちゃんと生徒を見てくれた、いい先生でした」

カメントツさんは現在、京都の大学で教鞭をとっている。

「自分が教師をしてみて思ったんですが、教師って基本的にはその場で問題を解決しようとするんです。学校の問題は、学校の中で解決するのが基本です。なのに、

『お前がいる場所はここじゃないよ。逃げろ!!』

って言ってくれた教師ってすごいと思います。僕は今、漫画や芸術について教えているんですが、授業に興味を持てなくなった学生がいたら、

『もしかしたら、君の居場所はここじゃないかもしれないよ』

とアドバイスできる先生でありたいと思ってます」

恩師の推薦のおかげで無事、私立の中学校に進学することができた。

「中学、高校はめちゃくちゃ楽しかったですね。みんな海外を知っているから早熟だし、文化的でした。それにみんな弱さを抱えているからか、いじめも一切ありませんでした」

あまり熱心に勉強はしなかったが、試験は器用にこなしていた。

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