家賃4万生活から脱出した28歳が起業した理由 制作会社、ベンチャー勤務を経て踏み出した

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奨学金も借りたが、ちょっとした特待生のような制度を利用し、学費は半額くらいにとどめることができた。しかし、パソコンなどITが好きな敬之さんがなぜ、文系の大学に入学したのだろうか。

「僕、転校が多かったので……転校生っていじめられがちなんです。しかもいじめっ子たちって、先生を言いくるめるのもうまい。上履きを隠されたとき、先生に

『●●君に上履きを隠されました』と訴えても、先生が見に来たときにはもうすっと元の場所に上履きが戻っている。

そしたら『君の見間違いじゃないの?』と先生に言われて……。そういうことが多々あったので、声の大きい人と戦うには正当性をぶつけるしかない、その究極の職が弁護士だと思い、弁護士になりたく、法律を学ぼうと法学部に進みました」

大学の途中から一人暮らしを始めた。学費以外の生活費はすべてアルバイトをして賄った。コンビニに建築現場、コールセンターの夜勤、試験監督、警備員など、一通りの職は経験した。いちばんきつかったのはコールセンターだという。ほぼクレーム電話しかこない。そうやってバイトに励み、月35万円も稼いだこともあった。

35万円も稼ぐと生活をするのは余裕だ。暇を見ては格安のツアーを見つけて海外旅行に行った。

弁護士の夢をいったん諦めて、制作会社へ

弁護士になる夢を持っていた敬之さんだが、わけあって通常の就活を始めた。

「弁護士になるために法科大学院へ行きたいと思っていました。ただ、法科大学院に行くためには学費が300万~400万円もかかります。奨学金を取れるほどのレベルではなかったし、とりあえず大企業で給与のいいところに勤め、お金を貯めてから大学院に入り直そうと思いました。片っ端から大手ばかり受けていましたが、リーマンショックの影響で、全然受からない。大学名でフィルターをかけて落としているんじゃないかと思うほどでした」

就活中もあいかわらずバイトをたくさん掛け持ちしていた。その中から「うちに来てみないか?」というオファーを受け、新卒でテレビ局の制作系の会社に入った。ここで働いていた期間がいちばん過酷だったと語る。

「とにかく激務で夜勤もある。1週間連続で夜勤があって、間に2日休み。そしてその後、日勤に戻るというサイクルで。夜の時間帯ってあまり局員がいないので、派遣と契約社員ばかりで、同じフロアにいる正社員は自分だけ。そんな中、何かトラブルが起こったときも新人だからうまく対処できない。給料は手取り30万円もらって福利厚生も整っていましたが、激務すぎてお金を使う時間的な余裕がなかったです」

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