災害時に突然起きる「自宅の停電」への対処 停電時に住宅用蓄電池はどう機能したか

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では、まず蓄電池とそれに関連するシステムについて確認しておきたい。東日本大震災以降に普及が始まった、比較的新しい住宅設備機器である。現在、販売されているものは蓄電容量1kWh程度の小容量のものから10kWhを超えるものまである。価格も数万円から100万円超まで幅広い。

省スペースでありながら容量の大きな蓄電池も登場している(筆者撮影)

近年は安全性の向上からリチウムイオンタイプを中心に室内設置型、壁掛け型なども普及し始めており、中には10kWhクラスの比較的大容量の充電容量でありながら、押し入れのようなスペースにも設置できるコンパクトタイプも登場している。

一般電力に加え、太陽光発電システムにより電力も充電できるものもある。後者は、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)とパワーコンディショナーなどの付帯設備を必要とする。

また、住宅と電気自動車に搭載されている蓄電池の間で電力をやり取りできる「V2H(Vehicle to Home)」というシステムもある。住宅用に比べ大容量(日産「リーフ」で容量は約30kWh)の蓄電池を活用するものだ。

災害時に蓄電池はどのように稼働したのか

さて、セキスイハイム(積水化学工業住宅カンパニー)は蓄電池を1万7292棟分、V2Hを543棟分出荷(2018年9月末時点、リフォーム含む)している、住宅業界ではトップの実績を誇るハウスメーカーだ。

「V2H」システムでは住宅と電気自動車の間で電力をやり取りできる(筆者撮影)

同社は2月25日に「長期停電時におけるセキスイハイムの蓄電システムの稼働状況について」を発表した。

その説明会では昨年9月に発生し大きな停電が起こった北海道地震、台風21・24号において蓄電池がどのように稼働していたかを明らかにしていたので紹介する。

【北海道地震による停電に直面したA邸】
太陽光発電5.94kWh 蓄電池5kWh
9月6日3時停電 7日22時復電
停電発生時は充電量100%。6日の日中は晴天だったことから太陽光発電による充電で100%を維持し、夜間に電力を使用したことから7日0時過ぎに充電量45%となり、同日日中に100%を回復し、その後復電した。

A邸は太陽光発電、蓄電池とも中型だが、使用する家電や設備を絞ったことから、約2日間の停電中、ある程度の電力を使えた。

【台風24号による停電に直面したB邸】
太陽光発電4.90kWh 蓄電池5kWh
9月30日23時停電 10月3日14時復電
停電発生時は充電量30%。日の出までに12%まで下がり、日中に太陽光発電からの充電で100%に回復。その後の2日間の夜間に50%程度になり復電した。

B邸もA邸同様、太陽光発電と蓄電池が中型だが、こちらは普段から多くの家電・設備を使っていたため、停電発生時に充電量が少なくなっていた事例だ。その後、電力使用を抑制することにより、充電量を確保しながら復電のときを迎えている。

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