災害時に突然起きる「自宅の停電」への対処 停電時に住宅用蓄電池はどう機能したか

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【台風21号による停電に直面したC邸】
太陽光発電8.84kWh 蓄電池12kWh
9月4日13時停電 9月5日0時復電
太陽光発電、蓄電池とも比較的大型で、悪天候により太陽光発電による充電ができなかったケースだ。停電時の充電量60%からスタートし、11時間後に25%で復電している。

11時間の間に使用できたのはLED照明(13灯)、冷蔵庫、テレビ、携帯電話の充電。LDKと主寝室などで電力を使用したという。近所に住む娘夫婦が冷蔵庫の食材を持ってC邸を訪れ避難し、食材を腐らすことがなかった。

【台風21号による停電に直面したD邸】
太陽光発電10.39kWh 蓄電池30kWh
9月4日12時停電 9月5日4時復電
太陽光発電、蓄電池(V2H)とも最大級のケース。停電後、外部で電気自動車を100%充電した。太陽光発電による充電がなく、電気自動車の放電開始(9月4日15時)から13時間経過した復電時には充電量35%となっていた。

このケースでは、1階LDK(冷蔵庫、照明、テレビ、IHクッキングヒーター、炊飯器)、浴室(エコキュート、ドライヤー込み)、空調システム、寝室(エアコン)を使用し、停電中もほぼ普段どおりの生活ができた。

以上の事例から、蓄電池により電力が確保でき、停電時にありがちな不自由な生活をある程度回避できたことがわかる。ただ、その一方で蓄電池はその充電容量はもちろん、太陽光発電の発電能力や日中の天候、家電設備の使用のあり方によって、状況が大きく異なる。

蓄電池は普及するのか

ちなみに、セキスイハイムの場合は停電状態になると、太陽光発電から充電するモードに自動で切り替わる仕組みとなっている。一般的な蓄電池ではこのようなシステムにはなっていないケースが多いのでご留意いただきたい。このほか、太陽光発電を搭載している住宅も同様だが、配電盤の関係上、住宅内のすべてのコンセントから電力を取れるわけでないこともご理解いただきたい。

いずれにせよ、蓄電池の災害時における稼働実態というのはこれまでほとんど明らかにされておらず、そういった意味でセキスイハイムの調査は貴重なのでここで紹介した。

ところで、このように大規模災害での役割が期待される蓄電池だが、今後の普及についてはどうなるのだろうか。大きく3つ、普及を後押しする要因がある。1つ目は「出力抑制」だ。これは、電力会社が再生可能エネルギーの発電設備から電力系統への出力を一時的に停止あるいは抑制することを言う。

近年、太陽光発電などが急速に普及し、供給が需要を上回ることで周波数が狂い、電力の安定供給が困難になる懸念が生じている。中でも、九州電力の管轄エリアではすでに実施されており、これは今後、全国的に広がると見込まれている。

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