バイトを大切にしない会社が忘れがちな7原則 労働条件をきちんと確認することが重要だ
こちらも労働安全衛生法の定めになりますが、新規採用者に対して、職種や社員区分を問わず、労災の発生などを防止するため、安全衛生教育を行うことが使用者には義務付けられています。
人手が足りないからといきなり現場に放り込んで、「OJTで覚えなさい」というような乱暴な対応は、たとえアルバイトであっても許されないということです。倉庫作業であれば転落防止、飲食店であれば調理器具によるやけど防止といったように、想定されうるリスクに対して、実際に作業を始める前に安全衛生教育を行うことが必要です。そういった教育を省略して労災が発生してしまった場合、会社の責任は重大です。
なお、万一、不幸にも労災が発生してしまった場合は、アルバイトも労災保険による医療費の補償や、休業補償などを全面的に受けることが可能です。
アルバイトも貴重な戦力
働き方改革法の一環として、同一労働・同一賃金のルールが大企業は2020年から、中小企業は2021年から適用されます。同一労働・同一賃金のルールとは、正社員・契約社員・アルバイトなど雇用区分は違っていても、実態として同じ仕事に従事しているならば、同じ賃金を支払わなければならないということです。
正社員は月給制、アルバイトは時給制という給与体系の違いは許されますが、時給換算して両者を比較した場合、時給水準は同等でなければなりません。諸手当についても原則的には同一待遇が求められます。
加えて、「正社員は賞与・退職金あり」「アルバイトは賞与・退職金無し」で当然という、一種の社会的コンセンサスがありました。ですが、直近でアルバイトに賞与を支給しなかったことを違法とした判決(2019年2月15日 大阪高裁)、長年勤務した契約社員に退職金を支払わなかったことを違法とした判決(2019年2月20日 東京高裁)が相次いで出されました。
まさに、同一労働・同一賃金を先取りした判決と言えるでしょう。すでに、実務上は同一労働・同一賃金の時代が始まっています。
キャリアプランの違い、責任の重さ、転勤の有無などに基づく合理的な待遇差は認められますが、アルバイトと正社員で説明のできない待遇差がある会社は、早急に給与体系の見直しが必須です。
このように、アルバイトにもさまざまな法的権利があり、特にフルタイムに近い時間数働くアルバイトについては、キャリアプランの違いなどによる合理的な待遇差を除き、ほぼ正社員と同等の労働条件を用意しなければならないということです。
バイトテロの防止を含め、アルバイトにも正社員と同等の責任感や倫理観を求めるならば、やはり、まずは会社側がそれにふさわしい待遇を用意しなければならないのではないでしょうか。人手不足の続く現在、アルバイトは貴重な戦力です。しっかりとした待遇を用意して、バイトテロなどを防ぐことはもちろん、モチベーション高く働いてもらいたいものです。
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