テレビ局をやめた僕が全く後悔していない理由

福原伸治「メディアの景色を変えたい」

ユーチューバーの凄まじい人気を、テレビの人間たちはどれほどわかっているのだろうか。彼らの影響力の凄まじさをどれくらい実感しているのだろうか。ユーチューバーの動画はテレビの編集の常識ではありえないつなぎ方をしている。それでも子どもたちは熱狂している。ユーチューバーを集めているUUUM(ウーム)という会社は、もしかしたら新しいマスメディア企業になりうるポテンシャルを持っている。今の放送局の人間にUUUMのことを正しく理解している者がどれほどいるのだろう。

若い人たちと一緒にメディアの景色を変えてみたい

こちらの世界から見ていると、テレビはまだまだ力があるし、やれることはたくさんある。ポテンシャルは本当に大きい。もったいないと思うことが本当に多い。テレビを「復活」させる方法は外からはなんとなく見えている。でもそれには「腹をくくる」必要がある。対症療法ではダメ。そしてその「腹がくくれるか」どうかは、僕は楽観視していない。

僕は、テレビとは「喜怒哀楽をできるだけたくさんの人々に伝えて共感を得るメディア」だと思っている。だから、放送局を出たけれどいまだにテレビを作っているという意識は消えていない。僕は、テレビは嫌いになれない。というか、テレビのことは大好きだ。今の職場では、これまで見えてこなかった視点がたくさんある。テレビ局にいたときは当然と思っていた考えや慣習がまったく通用しないこともある。

最初に書いたように、たくさんの国籍の人間がいるのでコミュニケーションがなかなかうまくいかないこともある。

テレビはマイノリティーのことをどれだけ真剣に考えているのだろうか。テレビはわかりやすさや最大公約数を求めすぎて、手からこぼれ落ちているものがあるのではないか。あとは若者の視点はとても学ぶことが多い。柔軟な考えとデジタルネイティブには驚かされることが多い。先にも書いたが、本当に勉強になる。

だから、僕がやることは今の場所でテレビをネットに持ってくることではなく、若いやつらといっしょにメディアの未来を作ろうとしている。メディアの景色を変えてみたい。景色が変わることで世の中がきっといい方向に変わるだろうと思っている。そう、先に書いた「喜怒哀楽をできるだけたくさんの人々に伝えて共感を得るメディア」、つまり「新しいテレビ」を作ろうと思っている。僕のやってきたことが少しでも役に立つなら惜しみなく出していきたい。若いやつらが思いっきりできるように環境を整備してあげたい。今のここは、かつての90年代のテレビのような熱も感じてしまうのだ。

仕事は大変だし、組織も大企業と比べるとまだまだ固まっていないところは多いし、給料ももちろん落ちた。正直、いつ潰れるかわからない現状でもある。アメリカの本社ではつい先日も大きなリストラがあったばかり。そしてあとどれだけ僕自身が走れるかどうかわからない。今の若いやつらについていけるかどうかもわからない。

それでも、放送局を辞めたことをほんの少しも後悔していない。

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