テレビ局をやめた僕が全く後悔していない理由 福原伸治「メディアの景色を変えたい」

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なぜ放送局を辞めたのか?

それは、このメディア激変の時代に新しいことをしたかったから。メディアの景色を眺める側でなく、変える側にいたいと思ったから。放送局ではそんなスピード感をもって新しいことができないと判断したから。全速力で走れるのはあと何年かと考えたらここにいてはいけないと思ったから。

僕の歳では、放送局でやれることはもう限られている。組織のことは言いたくない。人によって見える景色が変わるのだから。

フジテレビは早期退職制度を始めたのだが、その制度ができる前に人事局には退職を伝えていた。その直後に始まったので乗っからせてもらった。とはいえ、イヤラシイ言い方をすれば会社に残っていても僕らは逃げ切れる。じっと何もしないでいても、定年やその後5年くらいは働かせてくれるかもしれない。そしてそのほうが早期退職で得られるゲインよりもはるかに大きい。私事で恐縮だが、息子が私立の美大に受かって、お金もとてもかかってしまうのだ。

それでも放送局を辞めることを選んだ。妻も最初は呆れていたけれど、残りの人生をつまらなく送るのなら勝負に出てみたら、と背中を押してくれた。

いいコンテンツを作れる者がえらい

入社以来、「テレビの外部」に関わってきたのでそのスピード感、進化の度合い、仕事のやり方などなど、さまざまなことが大きく変わっていることを痛感してきた。

とくにインターネットの世界は、2000年代のはじめにユーチューブ、ニコニコ動画が出てきたことで一気に変わったような気がする。それはテレビが独占していた世界線が崩れた瞬間でもあった。

90年代からその兆候はあった。そもそもテレビ局が独占していたノウハウや機材が、デジタル化の波によってどんどん特別なものではなくなっていった。そしてコンピュータの普及とインターネットの発達はテレビの壁をどんどん崩していった。カメラマンを連れていかなければ撮れなかったものがiPhone1台で撮れるようになったり、編集スタジオでしかできなかったことがノートブックPCでできるようになったり、ものすごく高額のマシンを使わないと動かなかったコンピュータ・グラフィックスがデスクトップ上で簡単にできたり……。そしてその変化は、テレビをはるかに超えている。

今の会社に移って驚いたことの1つは、会社にコピー機がないこと。コピー機もそうだけどプリンターもコンシューマーレベルの小さなマシンが2台あるだけ。テレビの制作現場といえばコピー機がないとやっていけないほどの必需品なのに、それがない。当初の戸惑いは表現できないくらい。でも実際、ここに入社以来コピー機は使っていない。使わなくても仕事ができる。あと固定電話が1台しかない。それはみんながノートブックPCを持って、Google Docsを使って資料もスケジュールも共有しているからだ。そしてSlack(スラック)を見ないときはないくらい活用している。そもそもSlackを使わない仕事が信じられないくらい。Slackとは、簡単に説明するとビジネス用のSNSだ。多くのベンチャー企業やIT企業のマストツールになっている。

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