中野 欧州ではドラギECB総裁が利下げに言及するようになり、いよいよユーロ圏でもゼロ金利が現実のものになりつつあります。FRBばりのQEも行ってくるでしょう。
そして日本。4月に黒田バズーカが炸裂して、5月23日まで株価は一気に上昇しました。そのときは、出し惜しみしないということでしたが、2014年4月に消費税率が引き上げられ、景気が減速する気配が出てきたとしたら、そこで黒田バズーカの第2弾が放たれる可能性があります。
労働力不足が懸念材料に
中野 本来ならそろそろ量的緩和の先にあるものへの懸念が高まる時期なのですが、現状は米国、欧州、そして日本がまだ積極的な量的緩和政策を継続しており、その懸念がどんどん先送りにされています。
渋澤 懸念が先送りにされているから、しばらく株高が続くということ?
中野 2014年はグローバルラリーの年になるのではないでしょうか。その中で日本経済はどうなのか、ということですが、一時は30兆円、40兆円もあったデフレギャップが、6兆円程度まで減少しています。アベノミクス効果は確実にあって、デフレ脱却がいよいよ現実のものになりつつあります。日本経済は確実に回復へと向かっていますから、株価もある程度、しっかりした展開になると見ています。
藤野 日本の景気は確実に勢いづいていますが、企業活動の側面で懸念される点があるとしたら、労働力不足でしょうね。これは、株価にとっても懸念材料だと思います。
たとえば建設や土木の現場では今、監督の能力を持っている人が不足しています。工場にも職人と呼ばれる人が、ほとんどいない。たとえば富士重工の桐生工場などは深刻な人不足に陥っていて、1000人の工員をアウトソーシングしようとしました。
どうして、こんな状態になっているのかというと、やはり2008年のリーマンショックで、大幅なリストラを行ったことのツケが来ているのだと思うのですよ。企業は設備投資だけでなく、人への投資もしなくなった。だから、いざ需要が出始めて、いよいよこれからというときなのに、人手不足で身動きが取れなくなってしまう。ここが企業活動にどう影響するのか、気になるところではあります。
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