「#」から数千万円を盗んだ犯罪者の巧妙な手口 「反社のシノギ」はLINEスタンプだけじゃない

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少し前に、「スナップチャットで彼氏に送った自分の裸の写真がクラス中に広まった」という女子高生の話を聞いた。みんなが自分のうわさ話をしていて気づいたそうだ。

このように、消えるSNSを使っていると、油断して問題のある写真などを送ってしまう子どもは少なくない。しかし、スクリーンショットを撮ったり、専用のアプリを使ったりすれば、簡単に保存できてしまうので注意してほしい。

インスタ投稿で窃盗被害も

昨年、愛知県や岐阜県で空き巣を繰り返していた10〜20代の男女35人が、窃盗の容疑で愛知県警に摘発された。注目すべきは、彼らがインスタグラムなどのSNSを犯罪に最大限活用していたことだ。昨年10月までの1年半で約160件の窃盗や窃盗未遂事件に関与しており、被害総額は3000万円近くに上るという。

彼らはインスタグラムで「#ルイヴィトン」などの高級ブランドのハッシュタグで検索し、ターゲットを見極めていた。グループメンバーもプロジェクトごとにSNSで集めたため、お互いに面識がなく本名なども知らない状態だったという。そのため、「誰かが捕まっても自分にたどり着かれる危険はほぼない」と考えたわけだ。

「#ルイヴィトン」に並ぶインスタグラムの投稿(筆者撮影)

ある大学生は、インスタグラムで高級ブランド服や高級車などの写真を投稿していたため、ターゲットに選ばれてしまった。窃盗グループは、背景の写真やほかの投稿などと照らし合わせたり、聞き込みなどから大学生の自宅を特定。SNSの投稿から確実に留守のときを知り、空き巣に入ったという。ブランド品などを自慢したくなる気持ちもわかるが、公開しすぎると狙われてしまう危険性がある。

SNSでメンバーを集めて窃盗グループを作り摘発された例は、これだけではない。2016年2〜12月に、不法侵入、窃盗などを繰り返していた窃盗グループも同様だ。住所不定、無職の男らが「面白い仕事がある。50万円欲しい人」「闇の世界へ勧誘します」などとSNSに書き込んで窃盗グループを編成。知人宅や前の勤務先などに盗みに入り、11件の窃盗での被害総額は約2500万円に上った。最終的には、18〜22歳の男たち8人が逮捕、1人が書類送検されている。

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