「リーマン・ペーパー2」で消費増税また先送り?

増税先送りの16年6月と今の経済環境を比較

自民党大会で選挙へ向けて結束を呼びかけた安倍首相。選挙の前にまたも消費増税先送りを表明する可能性がある?!(撮影:尾形文繁)

国会では不適切な統計調査や賃金データの問題に議論が集中しているが、野党の要望を一部認めることで、8日に19年度予算案は衆議院で審議入りした。19年度予算案の審議は順調に進む(暫定予算が組まれることはない)可能性が高そうだ。

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19年度予算が成立した後には、10月に予定される消費税率引き上げの最終判断が行われる見込みである。菅義偉官房長官は1月3日のラジオ番組で、消費税率引き上げを最終的に判断するタイミングについて、「(予算成立が)1つの区切りではないか」と述べていた。

10%への消費税率引き上げはこれまで2度先送り(2014年11月、2016年6月)されてきた。今回は予定どおり引き上げるとの観測が多い。しかし、世界経済の成長鈍化が鮮明になる中、菅官房長官は慎重姿勢を崩しておらず、再々延期の可能性は捨てきれない。

増税先送りの根拠とされた「リーマン・ペーパー」

増税先送りといえば、その発表の直前に安倍晋三首相が「リーマン・ショック以来の落ち込み」などと語った、16年5月(26~27日)のG7サミット(伊勢志摩サミット)が思い出される。安倍首相は初日の討議で、その後「リーマン・ペーパー」と呼ばれる4枚のグラフやデータを各国首脳に配って、「世界経済が通常の景気循環を超えて危機に陥る大きなリスクに直面している」と強調し、話題となった。

「リーマン・ペーパー」は経済産業省ラインで作成されたと言われる。「危機とは言えない」と安倍首相の危機感に反論する首脳もいたとされる。しかし、安倍首相はそれを根拠に、6月1日に「『再延期する』という私の判断は、これまでのお約束とは異なる『新しい判断』であります」と述べて、消費税率引き上げの先送りを宣言した。

その後も「リーマン・ペーパー」は正式に公表されてはいないが、報道や参加者から流出したとみられるコピーによると、①コモディティ価格の下落、②新興国の経済指標の悪化、③新興国からの資金流出、④IMF(国際通貨基金)による成長率の予測の下方修正、で構成されていた。

「リーマン・ペーパー」は消費税率引き上げを先送りしたい安倍政権による「結論ありきの資料」と言われているが、今回も判断の材料になる可能性があるため、以下ではデータをアップデートして「リーマン・ペーパー」の現状を整理してみたい。

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