2018年12月10日に公表された7~9月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比マイナス0.6%、同年率マイナス2.5%と、2四半期ぶりのマイナス成長となった。もっとも、今回のGDP統計で重要なインプリケーションはマイナス成長になったことだけではなく、GDPデフレーターの前年同期比が5四半期ぶりのマイナス(マイナス0.3%)になったことである。
GDPデフレーターは、政府が「デフレ脱却宣言」を行う4つの前提条件となる指標のうちの1つ。ほかの指標は、消費者物価指数、単位労働コスト、GDPギャップ(需給ギャップ)である。
「デフレ脱却」の定義と判断基準は、2006年3月9日に日本銀行が量的緩和政策の解除を行った後の同年3月28日に政府(内閣府)が公表したもの。判断基準については「物価の基調や背景を総合的に考慮し慎重に判断する必要がある」とされ、明確な基準はない。とはいえ、今回の結果によって「デフレ脱却宣言」が遠のいたことは事実である。
2指標マイナスに「毎勤統計」の不正が追い打ち
また、消費者物価指数については前年同月比でプラス圏を維持しているが、日銀版コア指数と呼ばれ、政府(内閣府)も重視しているとみられる「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の11月分は前年同月比プラス0.3%の低水準にとどまっており、余裕はそれほどない。
従来は『月例経済報告』で示されていた「消費者物価(生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合)」が重視されていたとみられるが、これは日銀版コアの公表開始(2017年3月)に合わせて公表が終了された。そのため、現在は日銀版コアが代替指標として参照されているとみられる。
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