世界的に株価が暴落している。アメリカの株価は、テクノロジーが中心のナスダック市場が高値から一時20%以上下落した。高値からの20%下落は一般的に弱気相場入りと呼ばれる。
それでも12月26日のアメリカの株式市場は、この大暴落の後を受けて大幅反発し、NYダウ工業株30種平均は史上初めて1日で1000ドル以上の上昇という記録的な上げ幅となったし、ナスダックも5%以上上昇した。27日もダウは下落後最終的には260ドル上昇したが、これで一息ついたのだろうか。
暴落と「米中貿易戦争」「トランプ」は無関係
日本時間12月26日朝のメディアは25日の日本株の暴落を受けて、一般紙も含めて大騒ぎだった。彼らの解説は、背景にあるのは米中貿易戦争による世界景気減速懸念やドナルド・トランプ大統領の政治の不透明さによるものというものだった。
しかし、貿易戦争はずっと続いており、ここにきてむしろ解決へ向かうために中国側が譲歩する兆しもあり、暴落とは無関係のはずだ。また、トランプ大統領の政治的不透明さに関しては、メキシコ国境の壁を巡り議会の予算審議が難航し、政府機関の閉鎖などが起きている、ということがテレビの絵になりやすいため、主な理由の一つとして取り上げられているが、これも株価とはまったく関係がないはずだ。
一方、市場関係者のコメントとしては、FRB(米連邦準備制度理事会)議長の利上げ姿勢が問題であるとしている。「市場環境がこれだけ悪いのに、なぜ利上げを続けるのか?」という非難あるいは愚痴として報じられている。そこだけはトランプの主張と市場関係者の主張は一致しているようだ。
しかし、それ以外の点ではトランプ大統領の動きは、市場からは批判を浴びている。利上げは問題だが、FRB議長の解任検討は、市場を根底から壊す可能性のあるニュースだった。次は「スティーブン・ムニューシン財務長官の解任検討」だ。同氏が「株価急落対策委員会」のようなものを招集したという報道で下落が加速したこともあり、ある意味市場に寄った動きかもしれない。だが、いざ解任となれば経済の司令塔が不在になり、何もかも大混乱となる可能性もあり、結局市場は一瞬パニックになった。すでにジェームズ・マティス国防長官が政権中枢から去ることにより、「アメリカの外交、軍事戦略はついに破綻するのでは?」という恐怖が広がっている中で、「経済もか?」という恐怖感があった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら