「リーマン・ペーパー」では新興国への資金流入が「リーマン・ショック後に初めてマイナスに転じた」と、IMFの新興国への資金流入(Capital Inflow)の試算値が示された。
このデータは2018年1Qまでしか公表されていないが、類似のデータ(新興国ファンドへの資金流入)によると、2018年の半ばから流出した後、足元ではプラスの推移となっており、新興国への資金フローについては「リーマン・ペーパー」作成時と比較して足元では問題がない状態と言える。
最後に「リーマン・ペーパー」ではIMFの経済見通しの下方修正のパターンが紹介された。
リーマン・ショックの前の2008年1月見通しや「リーマン・ペーパー」作成前の2015年4月見通しは、先進国・途上国ともに連続で見通しが下方修正されたことが説明されている。「リーマン・ショック時においては、直前までプラス成長が予測されていたが、実際はマイナス成長に陥った」と、警鐘が鳴らされた。
同じように、2019年1月公表分からIMFの経済見通しをさかのぼって見ると、世界の経済見通しは、2018年7月対比でマイナス0.4%ポイント(3.9%→3.5%)と、2016年当時と同じ幅(3.6%→3.2%)の下方修正がされており、「リーマン・ペーパー」作成時に近いといえそうだ。ほとんどの国・地域で見通しが下方修正されているが、日本は若干の上方修正となった。
ところが、14日に発表された日本の2018年10~12月期の実質GDP成長率は前期比でプラス0.3%、年率1.4%となったが、前年同期比で見るとマイナス0.0%となった。小幅ながらも前年と比べて実質GDPがマイナスとなったのは2014年10~12月期以来のことだ。消費税が先送りされた2016年4~6月期は同プラス0.3%だったことから、国内の経済環境は当時よりも悪いと言える。
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