「リーマン・ペーパー」では、エネルギー・食料・素材などの商品価格は「世界経済の需要動向を示す鏡」とされ、2014年から2016年にかけて55%下落したことが示された。この下落幅はリーマン・ショック前後と同じであると強調された。
資料ではIMFが公表する商品価格指数が使用されていたようだが、この指数は2017年に更新が終了しているため、今回は商品市況の代表的な総合指数であるCRB指数を用いて現状を確認する。CRB指数はリーマン・ショック時に直前のピークから約49%下落し、2016年当時は14年の水準から約45%下落していた。
直近では2018年5月から12月までに約16%下落しており、コモディティ価格の変化の方向は今回も同じといえる。下落幅は過去と比べて小さいものの、水準はリーマンショック後よりも低い。コモディティ価格の動向は「リーマン・ぺーパー」作成時に匹敵するほど悪化しているといえよう。
2つ目のデータはIMFが試算した新興国の「投資伸び率」「輸入伸び率」「GDP伸び率」という3つの経済指標(いずれも実質)だった。
「リーマン・ペーパー」では、新興国の「投資伸び率」はリーマン・ショック時よりも低く、「輸入伸び率」や「GDP伸び率」はリーマン・ショック時以降で最も低い水準にあることが資料で説明された。
これらのデータを足元までアップデートすると、いずれも2016~17年にかけて一時回復したものの、18年には再び伸びが鈍化した。「リーマン・ペーパー」作成時と比較すれば小幅であるものの、方向性は今回も悪化方向である。
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