ちょっと変だよ、政府のキャッシュレス対策 消費税10%対策に、広がるカード会社の困惑
「増税まであと1年もないのに、本気なのか」「なぜ政府が民間の契約に関与するのか」――。
政府が打ち出した2019年10月の消費増税対策に、クレジットカード業界で動揺が広がっている。現金以外の決済手段でお金を支払った消費者に対し、購入金額の2%をポイントで還元する仕組みを検討している。カード会社などを通じてポイントを還元し、その原資を国が補助する意向だ。消費税率引き上げの影響を受けやすい中小企業に配慮し、対象は中小企業でのキャッシュレス決済に限る。
キャッシュレス決済が9割の韓国を筆頭に、海外では「脱現金」の動きが急速に進んできた。一方、日本の比率はまだ2割程度にとどまる。とりわけ中小企業での動きが鈍い。
キャッシュレス比率を4割に
カード業界を所管する経済産業省は、今年4月に発表した「キャッシュレス・ビジョン」の中で、キャッシュレス決済の比率を2025年までに4割へ高める目標を掲げた。消費増税の影響緩和策と併せ、現金取り扱いコストの削減や取引データの利活用などを通じた企業の生産性向上につなげていく。東京オリンピックを前に、訪日外国人の消費を取り込む環境整備の狙いもある。
ただ、カード会社からは「はたして今から間に合うのか」と施策の実現を危ぶむ声が聞こえる。準備をしようにも、「中小」企業をどう定義するかといった議論はこれからだ。店舗を管理する加盟店管理会社やカードを発行してポイントを付与するカード発行会社は、政府が中小企業の範囲を決めた後、各加盟店の実態を把握してポイント還元の対象店かどうかの振り分けを行い、システム対応することになる。
それにも増してカード会社が反発しているのが、ポイント還元プログラムへ参加する条件として、加盟店から徴収する手数料の引き下げを求められている点だ。
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