ちょっと変だよ、政府のキャッシュレス対策 消費税10%対策に、広がるカード会社の困惑

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つまり、日本の場合は多大なコストをかけて、重厚な仕組みを作り上げているのに、それに見合うだけの収入を得られていないということだ。海外と比べて日本の加盟店手数料は高いと指摘されるのも、消費者から徴収するリボ払い手数料に多くを期待できないからという面もある。

クレジットカード会社の利ザヤが薄いのは、今に始まった話ではない。そのため、かつては「キャッシング」(現金借入機能)に頼る収益構造だった。ところが2006年の貸金業法改正で状況は一変する。利息返還請求こそ終息に向かいつつあるものの、昔ほどキャッシング収入にも頼れない。加盟店手数料の引き下げに、カード会社が反発するのも当然だろう。

迫られるビジネスモデルの見直し

政府案のいちばんの問題は、手数料を下げたとしても中小企業においてクレジットカード決済が増える保証がないことだ。ポイント還元策は、電子マネーやQRコード決済も対象にすることが検討されている。LINEペイのように条件付きながら、加盟店手数料を無料にしているところもある。あるカード会社幹部は「中小企業はどうせ加盟店手数料が無料のキャッシュレス決済を選ぶ」と冷めた見方をしている。

中国ではQRコード決済が日常風景になっている(編集部撮影)

これまでカード業界は、「収益率が低くなっても、全体のパイが大きくなれば収入増でカバーできる」と、政府のキャッシュレス化推進の動きを歓迎していた。ただ、消費増税対策とセットで打ち出された今回のキャッシュレス推進策をみると、クレジットカード会社の「追い風」どころか厳しい「向かい風」ともなりかねない。クレジットカード業界は、高コスト体質の是正や事業モデルの見直しも含めて、対応を迫られることになりそうだ。

水落 隆博 東洋経済 記者

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みずおち たかひろ / Takahiro Mizuochi

地銀、ノンバンク、リース業界などを担当

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