2019年の安倍政権に渦巻く「7年目の不安」 選挙が目白押しの中、アベノミクスに危機
「あと3年、日本のかじ取りを担う決意だ」と9月の自民党総裁選圧勝で3選を果たした安倍晋三首相だが、年の瀬の永田町では「任期全うは簡単ではない」(自民長老)との声が広がっている。
平成最後のクリスマスに株価が2万円の大台を割り込むなど、アベノミクスの危機が目立ち、米中貿易摩擦やEU(欧州連合)主要国の混乱などで国際情勢も流動化が際立つ。「内政外交ともいつ、何が起こるか分からない状況」(閣僚経験者)だからだ。
来年は統一地方選と参院選が重なる「政治決戦の年」で、10月には消費税率の10%への引き上げが予定されている。12月26日に再登板から満6年を迎えた首相にとっても「不安がいっぱいの政権7年目」(側近)となることは避けられない。
政治日程は窮屈、難題も多い
来年の政治日程をみると、首相の政権運営の前途には多くの関門が並ぶ。1月28日召集予定の通常国会では、初の100兆円台となった2019年度政府予算の早期成立が最優先課題だが、国土強靭化のための大型補正予算の処理が先行するため、年度内成立への審議日程は極めて窮屈だ。
さらに、4月は統一地方選投開票日(前半7日、後半21日)で、21日には衆院の沖縄3区や大阪12区の補選も実施される。その後も4月30日に天皇陛下退位、5月1日に新天皇即位という歴史的皇室行事があり、6月末の主要20カ国・地域(G20)首脳会合のあとの7月下旬に参院選、そして10月1日には消費増税へと進む。まさに政治的ビッグイベントが目白押しだ。
政権運営からみると、首相にとっての最初の関門は沖縄3区補選だ。今年9月末の沖縄県知事選で与党が推した候補が、主要野党と「オール沖縄」が擁立した玉城デニー前衆院議員(自由党)に大敗しただけに、玉城氏の転出に伴う4月21日の沖縄3区補選で与党支持候補が敗れれば、政府が強行している米軍普天間飛行場の辺野古移設のための埋め立て工事への影響も避けられない。
併せて、統一地方選で自民の苦戦が際立てば、与党内で参院選への危機感が高まる一方で、野党共闘に勢いがつくことは確実だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら