2019年の安倍政権に渦巻く「7年目の不安」 選挙が目白押しの中、アベノミクスに危機

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そうした首相サイドの思惑を狂わせそうなのがアベノミクスの危機だ。25日の株価急落で「来年以降の世界経済減速の前触れ」(有力エコノミスト)との見方が広がり、日本経済への影響も深刻化する可能性が出てきたからだ。

ただ、25日を底に27日には株価が2万円を回復したこともあり、与党幹部は「世界経済は今のところ堅調」(岸田文雄自民党政調会長)、「日本のファンダメンタルズ(基礎的条件)はしっかりしている」(斎藤鉄夫公明党幹事長)と平静を装うが、政府部内には「1日で1000円もの急落はリーマンショック級で、年末以降も不安定な値動きが続くのは確実」(経産省幹部)との警戒感が広がっている。

これに対し、主要野党は「異常な金融緩和などで株価を支えてきたが、限界が露呈しつつある」(大塚耕平国民民主党参院議員会長)とアベノミクスの失敗が原因だと指摘、「消費不況が深刻化している。消費増税はあり得ない」(枝野幸男立憲民主党代表)と増税見送りも要求している。

菅義偉官房長官は記者会見で「リーマンショック級の事態が起きないかぎり、法律で定められたとおり来年10月から引き上げる予定だ」と繰り返したが、与党内には「来年も株価が低迷したままなら、首相が来年のG20を経て増税の延期や凍結を表明する可能性がある」(閣僚経験者)との声も相次ぐ。ただ、そうなれば「首相自身がアベノミクスの破たんを認めたことにもなる」(自民長老)だけに首相の責任問題も浮上する。

安倍首相は自信満々も、経済に暗雲

そうした中、首相は連休明けの25日に記者団から第2次安倍政権満6年の感想を求められると「大変感慨深い。7年目を迎えても日々、国家国民のため全力投球で頑張っていきたい」と語るとともに、あえて第1次安倍政権にも言及し「非常に肩に力を入れて頑張ったが1年で終わった。あの挫折と経験が大切な肥やしになった」と自信満々の笑顔で振り返ってみせた。

しかし、政権の命綱でもあったアベノミクスが危機に瀕し、年明けから始まる日米貿易交渉でも「盟友」のはずのトランプ米大統領が首相を攻め立てる場面も想定される。任期中の実現を公約した「憲法改正」も実現の見通しは立たず、「政権のレガシー(遺産)」作りのための日ロ交渉も「失敗すれば安倍外交も失速する」(自民幹部)ことは確実だ。このため、首相の自信とは裏腹に「7年目の政権運営は内政外交とも八方ふさがり」(首相経験者)ともみえる。

来年の干支(えと)は己亥(つちのとい)で前回は1959年。その年に結婚された当時の皇太子が、60年後の2019年4月、天皇を退位されるという因縁も絡み、2019年は新時代の幕開けの年になる。さらに歴史を紐解けば、60年前は首相の祖父の故岸信介元首相が押し進めていた日米安保改定への反対運動で岸政権が揺れ、5000人以上の死者を出した伊勢湾台風に襲われた年でもある。

己亥は「足元を固めて次を目指す」との意味合いがあるとされるが、政権7年目の首相が足元を固めて、首尾よく2019年11月20日の「史上最長政権」にたどり着けるかは、なお予断を許さない。

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