借金返済は後回し?消費増税が迷走するワケ 増税実施まで1年を切り、数々の問題が噴出

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11月22日、自民党の岸田文雄政調会長から消費増税対策に関する申し入れを受ける安倍晋三首相(共同通信)

2019年10月の消費税率10%への引き上げをめぐり、安倍晋三政権が迷走している。景気の落ち込みを抑える経済対策では、飲食料品に軽減税率が導入されるにもかかわらず“大盤振る舞い”が目立つ。

最大2万円で2万5000円分を購入できるプレミアム付き商品券を低所得世帯と子育て世代向けに発行するほか、中小小売店でクレジットカードなどによるキャッシュレス決済をした人へのポイント還元率を当初予定の2%から5%に上積みした。

借金返済の1年分が吹っ飛ぶ

住宅や自動車の購入に対する減税や給付金も大幅に拡大。経済対策は総額2兆円を超える見込みで、消費増税の本来の趣旨である借金返済の1年分が軽く吹っ飛ぶ計算だ。

混迷ぶりはそれだけではない。来年10月から消費増税の増収分を使って始まる幼児教育・保育の無償化。その財源負担をめぐり国と地方が対立を深めている。

原因は無償化の成り立ちそのものにある。安倍首相が突如、消費増税の使途を一部変更し、従来の借金返済から教育無償化に変えると公表したのは昨秋。それを争点にして解散総選挙に踏み切り、与党が大勝した。

国は来年度後半の半年分と、導入時に必要な事務費を全額負担するが、2020年度以降は従来の幼児教育・保育への拠出割合に応じて地方も負担することを求める。だが地方側は反発し、2020年度以降も国が全額負担するよう求めている。

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