うつぬけ精神科医が見た「子どもの不調」の背景 「家」を子どもの"ホーム"にする大切な考え方

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「家が快適な場所だと、学校に行かなくなったり、引きこもりになったりしませんか?」。親御さんからこんなふうに聞かれることもあります。

“学校はオマケ”と思う親のスタンス

でも、家すら安心な場所でなくなったら、子どもは完全に居場所を失い、それがひいては自殺につながることさえあるのです。もしお子さんから「いじめられた」など何らかの返事が得られた場合も、まずは子どもが“どこにいたいのか”を第一に考えましょう。

私がここでぜひ親御さんにお伝えしたいのは、「学校に行っても行かなくてもいい」というスタンスを親御さん自身がとれるかどうかということ。もっと言えば“学校はオマケ”とすら思えるかどうかです。

『うつぬけ精神科医が教える 心が折れない子を育てる親の習慣』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

これを言うと驚く親御さんも多いのですが、「学校には行かなくてはいけない」では、お子さんも親御さんも追い詰められてしまいます。でも、それとは逆のスタンスで構えていれば、お子さんへの声がけや問いかけがだいぶ変わってくるはずです。

まずは、「外で何かあった」子どもが家にいたければ家にいてもらう。「学校に行きなさい!」と追い立てるスタンスをやめ、「家」を子どもにとって本当の意味での“ホーム”にする。シンプルですが、これが、子どもの元気を取り戻し、彼らのメンタルを守っていくための“最初の一歩”になると私は考えています。

宮島 賢也 精神科医・産業医

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みやじま けんや / Kenya Miyajima

1973年、神奈川県生まれ。防衛医科大学校卒業。研修中、意欲がわかず精神科を受診、うつ病の診断を受ける。自身が7年間抗うつ剤を服用した経験から、「薬でうつは治らない」と気づき、食生活と考え方、生き方を変え、うつ病を克服する。その経験を踏まえ、患者が自ら悩みに気づき、それを解決する手伝いをする方向へと転換。うつの予防と改善へ導き、人間関係を楽にする「メンタルセラピー」を考案する。心の深い世界を知ったことから、さらに探求を開始し、現在は産業医などをしながら、心の不調の予防や教育により一層関われる方法を模索中。

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