「銀行」という一言で説明しきれない奥深い存在

意外と知らない基本から蘊蓄100章で解説

21. 地中海岸の都市アレクサンドリアに中央倉庫があり、各地の穀物倉庫の保管状況がそこに集約、記録された

22. その中央倉庫の記録をもとに、当時の人々は穀物を移動させることなく為替のような取引をしていたという

23. 紀元前8世紀頃、地中海の海上交易を仕切るフェニキア商人のなかには「両替商」を名乗るものがあった

24. 両替商は両替や金融を主業務とする商人だが、紀元前6世紀には古代ギリシャの都市国家ポリスでも活躍

25. これはポリスごとに異なる硬貨を使用していたためで、彼らは仕事の際、トラペザという四脚の机を使った

26. ゆえに「トラペジーテース」とも呼ばれたが、貨幣・貴金属・文書の保管や預金を元手に貸付も行っていた

27. なかでも有力なポリスだったアテナイでは両替商の仕事は居留外国人であるメトイコイが主に担っていた

28. 古代ローマでは騎士階級であるエクイテス身分の者によって両替商が経営され、地域での取引を行った

現代銀行の基盤を作ったイタリア

29. 貸付や投資機能が進化したのは、中世イタリアのヴェネツィア、ジェノバ、フィレンツェにおいてである

30. 中世後期、アラブ商人を介した東方との遠隔地交易が盛んになったことで、信用による売掛や買掛が発達

31. 有力商人が小口商人や船乗りの決済を代行するようになり、荷為替や小口融資が行われるようになった

32. 貿易維持のため常に貨幣不足だったジェノバ共和国議会は投資家が組成するシンジケートに救いを求める

33. その結果、国家のさまざまな財源や植民地などがこの組織に委託されていき、国の特権のほとんどを失った

34. このジェノバ共和国の財政を引き受けたシンジケートを母体に設立されたのが「サン・ジョルジョ銀行」だ

ヨーロッパ最古の認可銀行であるイタリア・ジェノバのサン・ジョルジョ銀行(写真:Gennadiy Kravchenko/iStock)

35. 1407年設立の欧州最古の認可銀行で、本店は13世紀に建てられたサン・ジョルジョ宮殿のなかにあった

36. 北イタリアからバルト海にかけて商人の経済活動は益々活発化し、金融に特化した商人も現れ始める

37. その交易商人たちの名残といわれるのがイギリス・ロンドンの「マーチャントバンク(Merchant bank)」だ

38. これはイギリス特有の金融機関で、いまも手形の引受や証券の発行・引受を伝統的業務として行う

39. そのイギリスで1694年に誕生した「イングランド銀行」は現在、我々が知る銀行の祖ともいうべき存在だ

40. 名誉革命によるイギリス王ウィリアム3世の財政難を救済するため1268人の株主が出資して設立

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