「銀行」という一言で説明しきれない奥深い存在 意外と知らない基本から蘊蓄100章で解説

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41. 銀行としては世界初の「株式会社」で、政府に120万ポンドの貸付を行うことで銀行券の発行権を得た

42. 一方、日本でも江戸時代には両替商があり、江戸の「越後屋(三井)」などは大手銀行グループの源流になった

43. また両替商や財のある大商人が大名に金を貸し付ける「大名貸し」などの融資も当時から行われていた

44. 明治時代に入ると、諸外国に負けない近代国家を目指す政府は金融面でも大胆な制度改革を実行していく

45. 時代は変わっても巷には徳川幕府が発行した通貨がそのまま流通していたが、1871年に「新貨条例」を制定

46. それまで使用されていた「両・分・朱」の単位から「円・銭・厘」へと変更する

47. しかし明治政府は非常に貧しく、紙幣を発行したり、その元となる金や銀などを持ち合わせていなかった

48. そこで民間の銀行に銀行券を発行させ、これまでの紙幣を新しい銀行券と交換させて回収しようと試みる

49. 1872年、銀行誕生のさきがけとなる国立銀行について定めた太政官布告「国立銀行条例」が制定される

50. その内容は1870年に当時、大蔵少輔だった伊藤博文が視察したアメリカの銀行制度を反映したものだった

日本初の銀行は「民間銀行」であった

51. 条例をもとに1873年、日本で最初の銀行となる「第一国立銀行」(現みずほ銀行)が日本橋兜町に開業した

52. この名にある〈国立〉とは〈国立銀行条例に基づく銀行〉という意味で、国営ではなく「民間銀行」だった

53. 1876年には国立銀行条例が改正され、国立銀行は1879年開業の第百五十三国立銀行まで153行が設立された

54. 新潟の「第四銀行」、岐阜の「十六銀行」、宮城の「七十七銀行」など現存するナンバー銀行はその名残である

55. ところが西南戦争の戦費調達の影響で激しいインフレが起こり大蔵卿・松方正義は中央銀行設立を提案

56. 1882年、日本銀行条例に基づき銀行券の発行と通貨・金融の調整を行う中央銀行「日本銀行」が設立された

日本銀行は1896(明治29)年、現在地である東京都・日本橋へ移転された(写真:soraneko/PIXTA)

57. 日銀券が発行されるようになると国立銀行券は交換されて姿を消し、国立銀行の多くが普通銀行に転換した

58. 松方は当初から諸外国のような「金本位制」を理想としていたが、日本には銀の蓄積が多く叶わなかった

59. のちの1897年日清戦争における賠償金の準備金として金本位制度を確立。日本も国際的金融秩序に加わった

60. 1942年には日本銀行法制定によって日本銀行は兌換義務がなくなり日銀券から〈兌換〉(だかん)の文字が消えた

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