「銀行」という一言で説明しきれない奥深い存在 意外と知らない基本から蘊蓄100章で解説

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61. 兌換とは〈正貨との交換可能〉という意味で、これによって日本は金本位制から「管理通貨制」に移行する

62. 金などの正貨を準備して紙幣の額面価値を保証せずとも最適な通貨量を決めて管理・調整できるようになる

63. 1946年、日本は第二次世界大戦後の激しいインフレに見舞われたことで「新円切り替え」が行われた

64. 新しい紙幣が巷に出回るまでの間は応急処置として、旧札に証紙を貼って新円代わりに通用させた

65. 1950年1月、表面に聖徳太子、裏面に法隆寺夢殿が描かれた新しい千円札が発行された

聖徳太子、伊藤博文らが描かれた旧札(写真:tommy/PIXTA)

66. しかし偽造が多発したため1963年には新千円札が発行。表面に伊藤博文、裏面には「日本銀行」が描かれた

67. 1965年、イギリスで預金の引き出しだけが可能な「CD(キャッシュディスペンサー)」機が登場する

68. 当時は引出金額を指定することができず10ポンド単位で袋詰めされたものが機械から出る仕組みだった

69. その後、アメリカで指定した金額の札が一枚ずつ出る現在のような磁気カード式の機械が開発される

70. 日本では1969年にCDが導入されたが、当初は千円札10枚が一束で出てくる袋出し式だった

71. 1971年、札が一枚ずつ出るCDが導入され、各CDと銀行の中央コンピュータを繋ぐオンライン化がスタート

ATMの普及でCDサービスは縮小していった

72. 三井銀行(当時)はCDの365日24時間・年中無休サービスをスタートし、他銀行にも広がっていく

73. イギリス・アメリカ・日本で銀行にCDが導入されたきっかけは、企業が週休二日制実施に動いていたため

74. しかし1973年のオイルショックで金融機関の週休二日制が無期延期になり、CDの無休サービスも縮小される

75. CDのあとには「AD(オートマティックデポジットマシン)」という預入専用機も開発されたが短命に終わる

76. 理由は預金引き出し、預入、振込も可能な「ATM(オートマチックテラーマシン)」が開発されたためだった

77. テラー(teller)とは〈銀行窓口で顧客対応をする担当者〉のことで、その代わりをする機械の意味だった

78. ATMは急速に普及したが高価だったため、1990年代後半まで日本の各銀行ではCDとATMの両方が使用された

79. 日本の銀行のオンラインシステムの特長は〈リアルタイム処理〉にあるといわれる

80. 預金を引き出すとすぐにその口座から出金され、振込の際も銀行営業時間内であればすぐに振込先に入る

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